広島への原爆投下から74年が経過した6日、プロ野球広島東洋カープ-横浜DeNAベイスターズ戦が平和と核廃絶を訴える「ピースナイター」として開かれた。マツダスタジアム(広島市南区)を埋めた約3万人1千人のファンはチームの垣根を越え、日常に野球がある喜びをかみしめた。
ピースナイターは、カープ球団などでつくる実行委員会の主催。2008年から毎年8月6日か、前後のホームゲームで続けている。
スコアボードには半旗が掲げられ、鳴り物応援を自粛。試合前には「被爆ピアノ」による国歌演奏や、灯籠の委任式が行われた。
灯籠は原爆ドーム(同市中区)付近で犠牲者の鎮魂を祈って行われる灯籠流しで使われるもので、両チームの監督、選手がそれぞれの願いを込めた。
横浜DeNAのアレックス・ラミレス監督(44)が灯籠に記したメッセージは「ラブアンドピース」。「世界平和」と書いたという守護神、山崎康晃投手(26)は「絶対に忘れてはいけないことで、今の自分と同年代の野球選手が命を落としたということもある。過去の先輩への感謝もあるし、自分たちができることがあればやっていきたい」と話した。
五回終了時には、ジョン・レノンの名曲「イマジン」が流れる中、観客が配布された紙を掲げ、スタンドを平和の象徴である緑色に染めた。内野席の原爆ドームと同じ高さ25メートル付近には赤い「ピースライン」が描かれた。地元カープファンだけでない。三塁側のベイスターズファンも、一つになった。
観戦前に広島平和記念資料館(同市中区)を見学したという藤沢市の会社員(40)は「こうやって野球を楽しめるのは平和だからこそ」と、平和の大切さを感じていた。