ベイスターズの春季キャンプは、沖縄県宜野湾市のアトムホームスタジアム宜野湾で始まり、1軍メンバー38選手が約5時間、精力的に体を動かした。
ブルペンではドラフト1位の上茶谷が「即戦力右腕」の評価にたがわぬ投球を披露し、首脳陣にアピール。打っては主砲筒香が初日から豪快な打球を連発し、状態の良さをうかがわせた。ラミレス監督は「皆がリラックスしてプレーして非常に良かった。上茶谷は足の使い方がいい」と高く評価した。
繊細さも持つ強心臓
ベイスターズが誇るドラフト1位の系譜を継ぐにふさわしい右腕が現れた。
初めてユニホーム姿でブルペンに入った上茶谷(東洋大)は「ジャージーじゃないのでいつもより力が入った」と、首脳陣の熱視線を浴びる中、最速152キロの直球を中心にカーブ、チェンジアップ40球を投げ込んだ。
糸を引くような直球は、狙っていた右打者の外角低めにほぼ収まった。「初日にしては良かった。セールスポイントの制球力をアピールできたかな」と胸を張った。
ルーキーの球を初めて受けた伊藤光の印象は、それを上回っていた。「フォームはきれいでコントロールも良いし、この時期なのにホームベースの上でも力がある。コースが少し甘くても試合で抑えられる球を投げていた」
昨季11勝をマークして新人王に輝いた東に対するものと同じような評価をチームの正捕手から得た右腕は、尊敬する三浦コーチからも金言を授かった。「いい球だった。調子がいいときの投球の歩幅を測って覚えておくように」。長く活躍したハマの大エースのアドバイスに「細かいこともやっていかないと長いシーズンは戦えないんだな」と素直に耳を傾けた。
その風貌や最速150キロを超える球速からパワーピッチャーと思われがちだが、今永、石田ら先輩左腕のキャッチボールを研究し、自身との違いを感じ取れる繊細さも持ち合わせる。「投球技術はうちに2、3年いる選手より上かもしれない。10勝以上できる能力はある」。ラミレス監督の評価はうなぎ上りだ。
この日ブルペン入りした先輩左腕たちに加え、京山、飯塚といった若手右腕らと開幕ローテーションを争う背番号27は「プロのブルペンは見てる人が多いなというくらいで緊張はない。自分の投球を心掛ければアピールにつながるはず」と言い放った。強心臓も信頼を勝ち取るために重要な要素だ。
筒香 快音連発
指揮官「40本いける」
「今日一番目立っていたのは筒香だ」。ラミレス監督からこう絶賛を受けたハマの4番が、いきなりエンジン全開だ。本人は「まだキャンプは始まったばかり。実戦に入ればまた変わる」と今の状態に関心を示さないが、今季取り組んでいる新フォームを見た指揮官は「40本塁打以上打つことも可能だ」とシーズンでの量産を予言した。