
昨年11月の明治神宮大会決勝。1点を追う八回1死一塁、立正大の主将・伊藤裕季也(22)は初球のストレートに狙いを定め、左翼席へ逆転2ランを放り込んだ。
自らの一発でチームを栄冠へと導いたキャプテンは「何が何でも日本一になりたかった」。夏には大学日本代表としてハーレム国際大会優勝に貢献し、秋の東都大学リーグでは優勝決定戦で先制弾を放ってMVPを受賞。そして、ドラフト2位でのベイスターズ入り。伊藤にとって飛躍の一年になった。
三重県四日市市出身で、中学時代は1学年上の東克樹と同じチームで活躍。卒業後は親元を離れて、東京・日大三高へ進学した。
「甲子園に出るだけじゃなくて、優勝したかった」と高い志で上京したが、春夏3度の甲子園優勝を誇る名門で主力となった3年夏は西東京大会4強止まり。「練習は結構していたけれど、ただやっているだけ。口では『甲子園に行きたい』と言っても、今思えば全然本気じゃなかった」と振り返る。
転機は当時東都大学リーグ2部だった立正大進学後。「(伊藤は)終わったんだ、と思われたくない」との思いで一心不乱に練習に打ち込んだ。
「高校に行く時にみんなにすごく期待されて、『甲子園楽しみにしているね』と言われていたのに…。もっとできたと思える自分が恥ずかしくて、もう同じ思いはしたくなかった」。1年時から学年のまとめ役を務め、