横浜のドラフト1位ルーキー・筒香嘉智内野手(横浜高)が、湘南(2軍)の4番・三塁に定着して奮闘している。目先の数字にこだわらず、「1軍レベル」を見据えて己を磨く。そんな大物ルーキーを「大きく育てよう」と、湘南首脳陣は静かに見守っている。
期待の大砲候補は不振のトンネルを抜け、イースタン・リーグで打ちまくっている。
5月16日から9試合連続安打中で、25日の西武戦では初盗塁も記録。「足のけがで調子を落としていたが、だいぶ上がってきた」と表情をほころばせた。
公式戦38試合に出場して打率2割5分6厘(156打数40安打、41三振)。本塁打はチームトップの7本だ(6月3日現在)。
打率は一時1割台に低迷したが、筒香は「(数字は)全然意識していません」と言い切っていた。
■「1軍レベル」へ
念頭にあるのは、春季キャンプとオープン戦で垣間見た、「1軍レベル」のようだ。
「今の時点で1軍にいっても通用しない。自信を持って(1軍で)戦えるようにしたい」
そのための課題は「すべて」。そう自覚し「日ごろから(2軍の)試合に合わせて調整するのではなく、常に練習に全力で取り組むように心掛けている」。目先の数字に、こだわりはない。
そんな18歳を、湘南首脳陣は静観している。
「打撃フォームに大きな問題点はない。今はたくさん打席に立たせ、経験を積ませることが大事。数字は全然問題じゃない」と田代富雄監督。「3連続三振を食らっても、4打席目にきちんとバットを振れている」と、自分のスイングを貫く姿勢を買っている。
■高い修正能力
問題に気付き、修正する能力が高いことも、首脳陣が落ち着いて見ていられる理由だ。
中根仁・打撃兼外野守備走塁コーチは「ビデオで熱心に打撃フォームを研究している。タイミングが早いとか、体が突っ込むとか、すぐに気が付いて次の打席で修正できている」。横浜高の先輩でもある鈴木尚典打撃コーチも「1年目の鈴木(自分)、多村(仁志現ソフトバンク)よりはるかに上」と、高く評価している。
修正すべき点はもちろん皆無ではないが「必ず壁にぶち当たる。その時に修正すればいい」と田代監督。しばらく“放任”し「苦労させて大きく育てる」つもりだ。
■結果にこだわらず
開幕から2カ月。当面、湘南での修練が続きそうだが「焦ってけがでもしたら話にならない。早く(1軍昇格を望む)ファンの期待に応えられるよう、努力したい」と筒香。結果にこだわらないとはいえ「自分は(2軍で)試合に使っていただいている」と、起用への感謝は忘れていない。
焦らず、謙虚に、自分のやり方で-。高校球界を席巻した大砲は、プロでも「らしさ」を失わず、一心にスイングを磨いている。
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