圧巻は、第3打席だった。142キロのツーシームに泳ぎながらバットを合わせると、打球は左翼フェンスを直撃、筒香は悠々二塁に駆け込んだ。
本人は「逃げていく球に崩されたが、風が飛ばしてくれた」と謙虚に振り返ったが、指揮官の見方は違う。「崩れながらもしっかり振っているから、ああいう打球になる」と称賛した。
第2打席の右中間を破った二塁打は「完ぺき」(尾花監督)だった。初球。142キロの内角直球を引っ張ると、打球は瞬く間に外野手の間を抜けた。「あの打球は自分本来の当たり」と、こちらは本人も満足したようだ。
試合後「プロの球に慣れてきた?」と問われると、「慣れてきたというより」とあえて否定し、「球がはっきり見えてきた。打撃感覚が戻ってきている」と説明した。稲葉や田中賢ら日本ハムの主力も相手となったが、「あまり相手チームのことを考えずにやった」。あくまでマイペースを貫き、初の対外試合で結果を出した。
四回1死一、三塁では、三走として投ゴロで三本間に挟まれたが、時間を稼いで走者を二、三塁に進めた。「きらっと光るものがあった。名門(横浜高)でやってきただけあるなと思う」と、指揮官をうならせるプレーを見せた。
打撃だけでなく、守備も、走塁も-。島田ヘッドコーチは「筒香はもっとすごくなる。ここ十何年かの高卒選手の中で、そうそういない」。いよいよ評価が高まってきた。
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