
九回まで「0」行進を続け、最後の打者を打ち取ると、こわもてから初めて笑みがこぼれた。初対戦の巨人を散発3安打で来日初完封。「お見事」の一語に尽きる。
最大の窮地は四回だった。無死二、三塁から遊飛、遊ゴロで2死を取り、四球で満塁としたが、左飛で切り抜けた。女房役の武山は「真っすぐが走ればファウルで(カウントを)稼げる」。多少、コースが甘く入っても球威でねじ伏せた。
何より動じない。計6四球が示す荒れ球も「自分にとって四球はピッチングの一部さ。攻めた結果での内容で心配していない」と意に介さない。攻めて攻め抜くことこそ身上だ。
8月からの加入ながら、8試合で5勝(2敗)と破竹の勢い。成功するか否か、シーズン途中での助っ人補強はリスクを伴うが、それを腕一本で覆した。来日前の3月、ワールド・ベースボール・クラシックで戦う侍ジャパンをテレビで眺め、今はその彼らと相対する。「実際に対戦して、いいバッターがいっぱいいると感じた。何とか結果を残せているが、もっと練習しなければ」
試合後は両耳にピアスを光らせ、ド派手に登場。来季残留は間違いない左腕は「そうなったら最高だ」。大物感を漂わせる黄金助っ人が、ここに誕生した。
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