藤井が開幕投手の大役をつかんだ。六回途中まで3安打無失点の堂々たる投球。試合後、中畑監督は明言こそしなかったが、「逆算すれば分かるんじゃないの」と中6日で29日の中日戦登板を示唆した。ヤクルト時代から11年ぶりとなる開幕投手に「三浦さんがいるから、自分はそんな立場じゃない」と言葉を濁すも、目の底には闘志が燃えたぎっていた。
直球は最速140キロにも届かない。それでも西武打線から次々と内野ゴロを奪えるのは、安定した制球力があってこそ。二回2死二、三塁の危機も、侍ジャパン炭谷から外角のチェンジアップで空振り三振を奪い切り抜ける。
「外角へのコントロールが原点。野球人生の中で一番いい投球」。先発の仕事を果たし、35歳は満面の笑みでマウンドを下りた。
昨年は2軍スタートだけに思いはひとしおだ。「戦力になることができなかった。スタートラインに立てるだけでもうれしい」。本人の言葉は謙虚だが、首脳陣からの信頼はエース三浦にも決して劣らない。
昨年は4度にわたり、連敗を止めてきたチームの“救世主”。友利投手コーチは「周りが何て言おうと、藤井は先発総崩れの時期にチームを救ってくれた」。高崎の負傷で開幕投手不在の緊急事態のチームを救うのは、14年目左腕しかいない。
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