プロ2年目。加賀美にとっては決して順風満帆の1年ではなかった。
試練はいきなり1月に訪れた。自主トレーニング中に右足首をねんざし、春季キャンプは2軍スタート。目標としていた開幕1軍も果たせず、「けがでチャンスをつぶしてしまった」。
出遅れた分を取り戻そうと、7月ごろからフォームの修正に取り組んだ。意識したのは、いかにスローペースで投げるか。「今までは振りかぶってから、すぐに投げていた。それをゆっくりと体重を移動させて投げるようにした」
もともと、緩急の差で攻めるのが持ち味。フォームの変化によってさらに「打者のタイミングもずらせるし、遅い球の後での速球も速く見せられる」ようになった。
約1カ月後、1軍の舞台で成果は現れた。8月12日に中継ぎで今季初勝利を挙げると、8月19日には九回無失点の好投で2勝目。9月2日は敗れたもののプロ初完投と先発の役割を果たした。結局今季3勝を挙げて、成長の跡を見せた。
中畑清監督が「2桁はいける」と期待を寄せる右腕。それでも本人は「コントロールも体力もまだまだ」と冷静に自らを見詰める。今年のドラフトでは法大の後輩三嶋が2位で指名された。「同じ右腕。自分もうかうかしていたら負けてしまう」と3年目を見据えた。
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