ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は9日、東京ドームで1次リーグB組が開幕し、3大会ぶりの優勝を狙う日本は中国戦に臨み、8―1で白星発進した。
初戦特有の重苦しいゲームを横浜の若き主砲が救った。
七回無死。リードはわずかに2点。2ボール2ストライクの5球目を、横浜DeNAの牧が外角高めに浮いた133キロのストレートを振り抜いた。
広角打法ではじき返した打球は右翼席へ運ぶチーム1号。「追加点が取れて良かった。気持ちで打った」。真骨頂を発揮した放物線に、チームメートの大谷や村上が手を挙げて喜び、超満員の東京ドームが大いに沸いた。
「(日本代表に)行くからにはスタメンで出たい」。その思いをかなえ、大事な初戦に「7番・二塁」で先発出場を果たした。
大会前の強化試合は5試合で打率2割3分5厘と決して本調子とはいえなかった。この試合前練習では強いスイングは控えめに、打球の約8割を中堅から右方向に運び、本来の打撃を取り戻そうとしていた。この試合も3打席まで快音は響かなかったが、自らのバットで重圧を振り払った。
2月中旬、球団の春季キャンプを離れる際には「世界一を取って、胸を張って帰ってくる」と宣言した。初陣でまばゆく輝いた牧。夢の世界一へ、ハマの誇れる4番の実力をさらに見せていく。(中西 悠)