
「キャッチャーをやるのと、できるのは違うと思います。できて初めて評価される。だからバッティングをやりたい」
2015年11月、明大・島岡寮の応接室。最終学年を前にコンバートを提案された佐野恵太は、善波達也監督(当時)に断りを入れた。
阪神にドラフト2位で指名された坂本誠志郎の後釜として期待されていた。同時に、一塁手でプロ入りするのは厳しいという親心でもあった。善波監督は「もう言わないよ。覚悟を決めてやれよ」と受け入れた。
2年の秋に初アーチ

広陵高(広島)では実績を残せなかったが、明大関係者はインパクトの強いスイングを評価しスポーツ推薦で迎え入れた。「肩も強いし、4年後には次のレベルに行かせてあげられる」と善波監督。高校2年秋から捕手を始めた経緯も踏まえ、時間をかけて成長させるつもりだった。
そんな首脳陣の想像を、佐野は持ち前の打撃で超えていった。1学年上の高山俊(阪神)や菅野剛士(ロッテ)らと遜色ない力を発揮。善波監督は「坂本もいて勝ちながら育てるのは難しいが、このバッティングを使いたい」と思い直した。
2年春にリーグ戦でデビューし、その秋に初アーチを記録。3年秋にはベストナインにも選出された。佐野自身も「プロになりたいという漠然とした思いは持っていたけれど、ベストナインに選ばれて明確な目標になった」と語る転機だった。
とはいえ、善波監督は「打撃のレベルは高いが、常にどこを守らせたら良いかを考えていた」。集大成のシーズンを前に悩みは消えなかった。
運命変えた9位指名
首位打者佐野の歩み(4)未来動かした「決断」
2年秋のリーグ戦で記念すべき初アーチを放ち、強打者としての歩みを進めた=2014年10月 [写真番号:495820]
【桜美林大―明大】1回2死無走者から右前打を放つ明大・佐野=2016年11月16日、神宮 [写真番号:495825]
ダイエーなどで活躍した叔父の佐々木誠氏からもらった色紙を持参したドラフト9位の佐野(明大)=2017年1月7日、横須賀市長浦町のベイスターズ総合グラウンド [写真番号:495827]
入団会見でラミレス監督とポーズを決める佐野。この出会いが大きく羽ばたくきっかけとなる=16年11月 [写真番号:495829]
真剣な表情で講義に耳を傾けるドラフト1位の浜口、2位の水野、7位の狩野、9位の佐野(右から)=2017年1月11日、東京都内のホテル [写真番号:495830]
佐野の活躍を喜ぶ明大の善波前監督 [写真番号:495823]
DeNA佐野の新人時代=2017年1月、横須賀市内 [写真番号:495847]
DeNA佐野の新人時代=2017年1月、横須賀市内 [写真番号:495848]
DeNA佐野の新人時代=2017年1月、横須賀市内 [写真番号:495853]
DeNA佐野の新人時代=2017年1月、横須賀市内 [写真番号:495850]
DeNA佐野の新人時代=2017年1月、横須賀市内 [写真番号:495851]
DeNA佐野の新人時代=2017年1月、横須賀市内 [写真番号:495852]