各界を彩る神奈川県ゆかりの人物が、自ら半生を振り返る連載「わが人生」。成功に至る道程とそこで培われた人生観とともに、懐かしい生活風景や人生を翻弄した激動の世相も映し出しています。約半世紀にわたり神奈川新聞読者の皆さまに愛され、今なお色あせない「わが人生」企画。バックナンバーの中から厳選し、カナロコで復刻掲載します。第三弾は、横浜高校野球部元監督・渡辺元智さん。全70回。
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2006年2月16日掲載
華やかであるはずの晴れの甲子園の舞台、勝利の積み重ねの究極にある栄光、それをつかみ取ることが選手のだれもが描く夢だろう。なのにたった一勝を挙げただけで異常なほどの脚光を浴びた少年投手の戸惑い、存分に力を出し切れないままチームを敗戦に導いたことによる心理的動揺ー愛甲猛は性格が真面目(まじめ)なだけに慢心するどころか、それに値しない自分を恥じ、浴びせられたスポットライトを重圧に感じて押しつぶされたのだろう。