各界を彩る神奈川県ゆかりの人物が、自ら半生を振り返る連載「わが人生」。成功に至る道程とそこで培われた人生観とともに、懐かしい生活風景や人生を翻弄した激動の世相も映し出しています。約半世紀にわたり神奈川新聞読者の皆さまに愛され、今なお色あせない「わが人生」企画。バックナンバーの中から厳選し、カナロコで復刻掲載します。第三弾は、横浜高校野球部元監督・渡辺元智さん。全70回。
現在の観点では不適切な表現や状況が異なる事象もありますが、紙面掲載当時の表現、表記をそのまま掲載しています。著者の所属先など関係者・関係組織へのお問い合わせはお控えください。
2006年2月4日掲載

世間にいう「何々野球」というのは、手本になる要素をふんだんに持つものだが、私のいう「渡辺野球」は真似(まね)て欲しくないし、手本にもならないという意味合いが強い。そもそも「渡辺野球」という言葉自体が平成に入って甲子園の常連になってからいわれたもので、私からいい出したわけではなかった。むしろ、そうなってからの渡辺野球は高いレベルで選手の自主性を重んじ、できれば監督はサインを出さないというものだから、これもまた参考にはならないだろう。