◆「焦がしたフライパンを洗うのは大変だよ」
年度末の3月、家庭科の時間。1年間食生活の学習を積み重ねてきた2年3組35人は「環境」の視点から調理実習を振り返り、班ごとの発表の準備中。ここはハンバーグ作りがテーマだ。
「形を整えるのに、薄い手袋を使えば良かったかな」
「衛生的だし、手を洗うときも少しの水で済むね」
「デミグラスソースは、焦がしちゃって、フライパンを洗うのが大変だったね」
「火加減をちゃんとすれば、洗う時にたくさんの水を使わなくて済んだよ」
「ハンバーグを焼いたフライパンにそのまま調味料を入れたけど、汚れを拭き取ってから入れれば焦げつかなかったのかも」
「そうか! 調理の技術を上げることって環境に配慮した生活につながるんだ」
体験した学習は、知識としての文字を、実感を伴った言葉に変えていく。
飛び交う言葉を付箋にメモし、目の前に置かれた「思考のワークシート(食生活から見える世界)」に貼っていく。
シートの中心は〈私〉であり、〈環境〉〈私たちにできること〉〈世界・社会〉と輪が広がっていく。思考の流れが視覚化されているのだ。
この班は照り焼きのブリについてだ。
「産地はどこだっけ?」
「確か平塚で獲れる魚を調べた時、ブリもあったよ!」
「平塚かぁ。そう考えると自然を大事にしなくちゃと思うね」
「食材の産地を汚さないようゴミを出さない工夫をしたいね」
「なるほど、それが〈私たちにできること〉か!」
気がつけば付箋はシートの最も外輪の〈世界・社会〉を埋めていた。
「水とかゴミとか、『自分一人ぐらい、いいか』って思っちゃダメだね」
「『一人ぐらい』って思う小さなことをみんなで心がけると、すごい力になるって、まとめよう」
発表の準備は整った。
さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート
神奈川県教育委員会では、他にも各校の取り組みを「元気な学校づくり通信『はにい』」で紹介。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f420082/