
「どーん!」
9月7日、金沢養護学校肢体不自由教育部門小学部の教室から大きな音が響き渡った。今日は子どもたちが楽しみにしている音楽の授業だ。5年生の音楽では今、打楽器の演奏に取り組んでいる。
まずは、1人ずつ打楽器の音を出す練習から始まる。最初は大太鼓だ。ばちを握ってたたくことが難しい子どもでも、ボールをばちの代わりにして上手にたたけるように大太鼓に工夫をしている。
「ボールを引っ張るよ!」
教員が言葉をかけると、子どもたちはゴムひもがついたボールを、力をこめて一生懸命引っ張る。手放されたボールは、大太鼓めがけて勢いよく飛んでいき大きな音が鳴り響いた。その音の大きさに子どもたちの目も大きく見開く。
「次は小太鼓。まずは自分の手でそのままたたいてみよう」
教室にやさしい音が響く。
「上手にできたね。次はスティックを使ってたたいてみようか?」
今度は小太鼓の音がはっきりと響いた。
「格好良くたたけたね。いい感じ!」
演奏している子どもは得意げな表情を浮かべた。
大太鼓、小太鼓、鈴。子どもたちはさまざまな打楽器をたたき、思い思いに音を出して練習する。
「それでは、皆で合奏をしましょう。演奏したい楽器を選んでください」
手を上げて「この楽器をやりたい!」と伝える子ども、目の動きで演奏したい楽器を知らせる子ども、身を乗り出して手足を振りアピールする子ども。それぞれ演奏する楽器が決まり、準備はバッチリだ。
「さあ、皆でピアノに合わせて音を出すよ。せーの!」
笑顔や身ぶりで、演奏する楽しさを思い切り表現する。さまざまな音が溶け合い、今ここでしか味わえない音楽が紡ぎだされていく。

さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート
神奈川県教育委員会では、他にも各校の取り組みを「元気な学校づくり通信『はにい』」で紹介。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f420082/