「大切な友達だった」
絵本題材に、自分たちの関係を振り返る
四年一組25人の児童が、先生が絵本を読むのを静かに聞いている。
イノシシとイタチは友達同士。イノシシはイタチを自分の思い通りに動かしたいが、イタチは反抗する。そんなイタチをイノシシは、いらない友達を引き取る「ひきとりや」に引き取ってもらうことにした。すると、イタチのいない時間を過ごすうちに、イノシシの気持ちに変化が表れる…。
イノシシ自身も引き取ってもらおうとした場面で、先生が問い掛ける。「その時の気持ちはどうだったのかな?」
「『ひきとりや』にお願いするイノシシの態度が変わった」「いばった言い方をやめたね」「イタチへの意地悪を自覚したってこと?」「あのときは自分が悪かったって思ってる」「自分のプライドを捨ててまでもイタチと遊びたくなったんだよ」
子どもたちが考えを出し合う様子を、先生はうなずきながら見ている。ある子どもが「またケンカしたいと思ったんだよ」と言うと、「ケンカをしたかったの?」と先生が問い返す。
「イノシシにとって、ケンカも楽しみの一つだったんだよ」。他の子どもたちも「ケンカのようで、気持ちはじゃれ合っていた」「大切な友達だって気付いた」と、続けて答える。
先生が「イノシシとイタチはこれからどうなっていくといいのかな」と、さらに問い掛ける。「悪口を言わないで、じゃれ合いをすればいい」「今度はイタチの言うことを聞けばいいよ」「そうしたら、親分子分の関係になっちゃうよ」「それなら、お互いの言うことを聞けばいい」
子どもたちは、イノシシとイタチの関係を考えることで、自分と友達との関係も自然と振り返っていく。授業の最後、子どもたちは自分のことを紹介する「自分カード」に、友達との関係でこれから大切にしたいことを一つ書き加えた。
さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート
神奈川県教育委員会では、他にも各校の取り組みを「元気な学校づくり通信『はにい』」で紹介。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f420082/