メダカの行動を探れ
「生きている生物の営み」を理解
生徒は真っ暗な生物室でメダカの水槽に照明を当て、一言も話さずメダカを見続ける。この授業は1年生の「生物基礎」。ある単元の第1時である。この単元は、受精卵の表現型から遺伝について学ぶことを目指しており、本時はその第一歩として、班ごとに水槽の中に入れた2匹の雄と1匹の雌による配偶行動を観察する。
本校は、「次代を担う人材の育成~次代を創る・リードする~」をグランドデザインとし、「授業の柏陽」のスローガンを掲げ、「課題解決に向けた思考力・判断力・表現力等の育成」に全教科で取り組んでいる。
「今日は雄と雌のメダカを一緒にし、行動の違いを観察して考察します」
雄が雌の前で一回転し真横に並び、背びれと尻びれで横抱きにすると、雌は産卵を始める。生徒は水槽を注視する。「雄が盛んに行動している」「雌は一回しか交尾できないけど、雄は何回でも交尾している」「交尾するかどうか雌が決めているみたいだ」など、捉え方が徐々に深まる。
生徒は互いに協力しながら、班としての観察結果をまとめていく。続いて、自分の班だけでなく、他の班の情報を確認して回り、結果を比較し考察する。
教師は、生徒の思考を促すため、さまざまな問い掛けを続ける。
「交尾できる雄とできない雄の違いはなんだろう」「選んでいるのは雌と雄のどちらかな」
授業の振り返りでは、班ごとに結果を比較しながら自分の考えをまとめ、自然界で同様な現象がないか考える。続く第2時では、共通性と多様性の視点から、受精卵の黒色と緋色(ひいろ)の様子を観察し考察する。生徒はメダカの観察を通して遺伝を学び、理解を深める。「生物」は、「生きている生物の営み」を理解する科目であることを生徒は実感する。
さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート
神奈川県教育委員会では、他にも各校の取り組みを「元気な学校づくり通信『はにい』」で紹介。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f420082/