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神奈川新聞と戦争
(132)  1941年  人気キャラも国策に

神奈川新聞と戦争 | 神奈川新聞 | 2020年3月29日(日) 05:00

フクちゃんに酷似した子どもが描かれた寿屋の広告=1941年12月15日の神奈川県新聞
フクちゃんに酷似した子どもが描かれた寿屋の広告=1941年12月15日の神奈川県新聞

 日米開戦から1週間後の1941年12月15日、本紙の前身である神奈川県新聞には、相変わらず寿屋が戦意高揚の広告を出していた。「きつとだよッ」のせりふとともに描かれた、学帽とおもちゃの刀らしき棒を持った子どもの姿。漫画家、横山隆一の「フクちゃん」に酷似している。

 「もつと貯金をふやさうよ。ぼくたちが貯金を一銭でもふやせば、それだけ日本が強くなるんだよ。飛行機だつて、タンクだつて、機関銃だつて、ぼくたちの貯金がふえれば、それだけ沢山(たくさん)できるんだつて。うれしいね。だから貯金ふやさうよ。きつとだよ」

 かわいい姿に似ず、本文は物騒極まりない。前回説明したことと同様、生活費を切り詰め貯蓄に回して戦費を調達せよ、との国策を、子どもにも呼び掛けているのである。

 子どものためたお小遣いで戦闘機や戦車、機関銃を造る。それを子どものキャラクターに言わせる恐ろしさ。

 本来のフクちゃんは5歳という設定で、着物に白い前垂れを着けているが、寿屋の挿絵の子はもう少し年上に見える。顔は少年らしく、衣服は黒い上着に半ズボン姿だ。ただ、やはり丸刈りの頭や学帽の描き方はそっくりである。

 本家フクちゃん自体も戦争に駆り出された。二・二六事件のあった36年に東京朝日新聞(現朝日新聞)に連載が開始され、日米開戦以降は「ジャバノフクチャン」(日本軍が占領した現インドネシアのジャワ島が舞台)や「フクチャン従軍記」などと題し、戦争の色濃い内容に。44年3月には「これからボクも銃後の決戦場に飛びこんで、一生懸命増産のお手伝ひをします」と「疎開」を宣言し、連載は終了した。

 実在、架空を問わず人気者が時の政治に利用され、子どもが国策に巻き込まれる。メディア時代の戦争の危うさは現代に通ずる。

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