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神奈川新聞と戦争
(159) 1943年 スローガン一色の紙面

神奈川新聞と戦争 | 神奈川新聞 | 2020年11月15日(日) 05:00

3月8日付の寿屋の広告

 「撃ちてし止(や)まむ!」の文字に、日本刀の切っ先のシルエット。1943年3月8日の本紙に掲載された寿屋(後のサントリー)の献納広告である。

 この文句は、同年3月10日の第38回陸軍記念日に合わせ大政翼賛会が選定したスローガンだった。元は古事記の一節で「敵を打ち倒さずにはおくものか」の意味だ。神武天皇の「東征」神話を引いたことからも、国家主義と軍国主義の結び付きがうかがえる。

3月10日付の目薬(左)と湿布薬の広告

 陸軍省は記念日を前に5万枚のポスターを作製し全国に配布。東京・有楽町の日劇には前線兵士を描いた巨大な壁画が掲げられ、この文句が添えられた。

 この時期の紙面には、寿屋に限らず「撃ちてし─」と記した広告が幾つも見られる。参天堂(後の参天製薬)の「大学目薬」や藤沢薬品工業の湿布薬「デルモライツ」、仁丹などだ。

3月10日付の仁丹の広告

 記念日の10日、本紙は1面トップに「草木の根食べても“撃ちてし止まむ”決意/けふ決戦下“陸軍記念日”」の見出しで、徴兵や動員を担った横浜連隊区司令部の司令官・平岡力少将の談話を載せた。

 「戦争は正(まさ)にこれからである(略)県民はよろしくこの重大時局を再認識して『撃ちてし、止まむ』の必勝信念を堅持して貰(もら)ひたい」「一億一心、女でも子供でも挙げて愛国心に思ひはせることである、また如何(いか)なる困苦欠乏にも耐えるの不動強固な心構へを常に培ふことである」

 ひたすら唱えられた精神論。紙面は本文、広告ともにスローガンで染まった。

3月17日付の湿布薬「デルモライツ」の広告

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