
韓国語を学ぶ初心者に向けた「スマホでコメントできる短い韓国語」(KADOKAWA、1485円)をこのほど出版した。
「好きな俳優さんに思いを伝えたり、旅行先で買い物したりする際、絶対に使う言葉やフレーズをまず覚える。口に出して言ってみることが近道ですね」
フォローしている俳優の会員制交流サイト(SNS)などで、一言でもいいのでコメントを書くことを勧める。「いつか返事が来るかも、と遠い夢を抱く楽しみもあるし」と朗らかに笑う。
英語が好きで留学したかったが家の事情や経済的な理由でかなわず、鬱々(うつうつ)と過ごしていた20代の初め、FMヨコハマのインターナショナルDJコンクールに出場して準優勝。審査員長の小林克也さんに「君はDJをやったほうがいいよ」と勧められた。当時は洋楽にはまっており、小林さんは「神様みたいな存在」。その神様の勧めに従い、ラジオの世界へ。

「その頃に比べると今はよくなりましたが、進学も就職も厳しかった。韓国語が話せても何の役に立つのかと思っていました」と在日コリアンとしての悩みを振り返る。そんな状況を大きく変えたのが、韓国ドラマ「冬のソナタ」をきっかけに起こった韓流ブームだった。
「韓国文化への関心が高まり、周りの方の意識が柔軟になった。こちらを受け入れてくれるように変わりました」
2004年ごろから来日するスターらのイベントで司会進行を担当。時には通訳も兼ね、ファンとの橋渡しを務める。イ・ビョンホンをはじめ、俳優たちのプロ意識の高さを感じているという。
特に、今年日本デビュー15周年を迎えた人気デュオ「東方神起」とは長い付き合いだ。「人間性が素晴らしく、スターになっても変わらない。一緒に仕事をした人たちがみんな『いい子たちだねえ』と応援したくなるんです」と明かす。
「今はどのイベントでも、通訳が入る前に会場の半分くらいの人は理解して一緒に笑っている。憧れの人が何を話しているのか、絶対に聞き取ろうとして韓国語を勉強するエネルギー。しかも若い人たちだけじゃない。そうさせてしまうのが、韓流のすごいところですね」
みんしる
MC(司会者)、ラジオパーソナリティー。藤沢市出身。
東海大工学部短期大学部卒。1992年FMヨコハマのインターナショナルDJコンテストで準優勝。J-WAVEやTOKYO FMなどのラジオでパーソナリティーとして活躍。日本語、韓国語、英語のトライリンガルであることを生かし、国内外の映画記者会見や舞台あいさつのMCを務める。2010年から関東と関西で韓国語サロンを主宰。
記者の一言
昨年は韓国語サロンの生徒たちを率いて、韓国・済州(チェジュ)島へ旅行したという。バラエティー番組に登場したミカン畑の中のカフェを訪れるなど、満喫したとのこと。現地で生の韓国語に触れるのは格別だろう。記者が初めてそれを実感したのも済州島だった。海辺にある火山の急な階段を上っていると、遠足に来ていた現地の小学生らが「チョンチョニ(ゆっくり)」と話しているのが、耳に飛び込んできた。それまで映画やドラマなど画面を通して聞いていた言葉が、急に血の通った生身の言葉として理解できた瞬間だった。あれから何年もたつが、聞き取りレベルはさして進歩していない。書く方はもっと厳しい。SNSでフォローしている韓国の俳優はたくさんいるので、書き込みしてみようかな。