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木嶋真優さんに聞く 指導者との絆を糧に自分らしい表現を開拓

K-Person | 神奈川新聞 | 2020年2月2日(日) 09:30


木嶋真優さん
木嶋真優さん

 華やかな存在感の中に知性が宿る、新進気鋭のバイオリニスト。3歳でバイオリンを始め、小学生の頃から国内の数多くのコンクールで入賞。ロシアの世界的な名教師ザハール・ブロンとの出会いをきっかけに、14歳で渡独した。ケルン音楽大学と同大学院を首席で卒業した現在は、ソリストとしての活動を軸に、オーケストラとの共演や楽曲のプロデュース、指導活動などを展開中だ。

 5月16日に行われる神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会では、ドイツの作曲家マックス・ブルッフの「スコットランド幻想曲」を演奏する。「演奏時間も長く、技術的に難しい曲。でも、だからこそ今年一番といえるほど楽しみなプログラムです」と目を輝かせる。

 「神奈川フィルは若手のメンバーも多く、演奏が生き生きしている」とそのイメージを語ると同時に「ソロ・コンサートマスターの﨑谷直人さんとは、ブロン先生の門下生として長い間切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間でもあります」と明かす。

 ブロンと門下生は皆、師弟を超えた家族のような関係だったと振り返る。「3日から1週間ごとに、ヨーロッパ各地を移動する先生に帯同して、1年のうち360日はレッスン。先生と一緒に食事もしていたし、生徒同士もライバルではなく仲間として助け合っていました」

 生徒たちには良い意味で「ブロン先生のカラーがついてしまう」という。「教わった曲は体に染みついているし、素晴らしい指導内容を忠実に再現すれば確実に良い演奏ができる。でも、その次に何ができるかというのがアーティストとして問われること。ここ数年、今なら自分の解釈でその曲を表現していけるんじゃないかと思って、あえて先生に教わった曲を演奏しています」。2月にフィリアホールで開催されるイリヤ・ラシュコフスキーとのデュオ・リサイタルでは、ブロンに指導を受けた、プロコフィエフの「バイオリンソナタ第2番」を披露する。

 近年はテレビのバラエティー番組のほか、複数のファッション誌にも登場。気さくなキャラクターや、磨かれたファッションセンスでも注目を集める。「音楽活動が自分の核。そこがぶれなければ、どんな露出の形があってもいいと思っています。クラシック音楽は正直、コンサートの集客が難しいし低迷している。自分が実験台になって、いろいろな場で表現活動をすることで、クラシック音楽の枠を広げていければ」

きしま・まゆ
 バイオリニスト。兵庫県出身。ドイツ留学中は、ロシアの指揮者ロストロポービチと、米国、欧州ツアーを重ね好評を博す。2016年第1回上海アイザック・スターン国際バイオリン・コンクールで優勝。今月15日横浜市青葉区民文化センターフィリアホールでのデュオ・リサイタルは残席わずか。

記者の一言
 横浜は思い出の詰まった大事な場所だという。「ブロン先生のセミナーが行われていたのがみなとみらい。年3回、1週間前後、母と一緒にホテルに滞在して先生のレッスンを受けました。訪れるたびに10代の頃の懐かしい思い出がよみがえります」

 現在はフランス・パリと日本を行き来する生活。「昨年は日本のテレビに出演することも多くて、忙しいけれど楽しい年でした。大好きな指原莉乃さんとも共演できたし」。音楽について語る真剣な表情から一転、アイドルファンの女子としてはにかむ笑顔がとてもキュートだった。

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