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沖澤のどかさんに聞く 自分らしく、音楽の喜びにあふれた演奏を

K-Person | 神奈川新聞 | 2020年1月5日(日) 13:30


沖澤のどかさん
沖澤のどかさん

 1月9日、横浜みなとみらいホールで行われる「第14回フレッシュ・コンサート」で神奈川フィルハーモニー管弦楽団を指揮する。同楽団にとって創立50周年となる2020年の門出を飾る公演だ。共演は18年のオペラ「ヘンゼルとグレーテル」以来2回目。「楽団員の皆さんが温かく迎えてくださって、いろいろな提案もしやすい雰囲気だったことを覚えています」とほほ笑む。

 ヨーロッパでは新年の定番となっているオペラ「こうもり」の楽曲など、新春らしいプログラム構成。1曲目はベートーベンのオペラ「フィデリオ」序曲だ。「エネルギッシュで希望にあふれていて、新年の始まりにふさわしい曲です」。活躍中の箏(こと)アーティスト・LEOとは宮城道雄「春の海」の管弦楽編曲版、ピアニストの和田華音とはショパンの「ピアノ協奏曲第1番第3楽章」を披露する。「LEOさんや和田さんとは初共演。とても楽しみにしています」。

 19年9月、フランスで行われた第56回ブザンソン国際若手指揮者コンクールで優勝。観客と、演奏したオーケストラがそれぞれ選ぶ「観客賞」と「オーケストラ賞」も同時受賞し、高い評価を受けた。「18年の東京国際音楽コンクール優勝後から日本での仕事をいただくようになっていたのですが、ブザンソンの受賞後は各国からお話をいただけるようになりました」と充実した表情を見せる。21年1月にはミューザ川崎で東京フィルハーモニー交響楽団とも共演する予定だ。


第14回フレッシュ・コンサートは1月9日午後2時開演。全席指定3千円。チケットは神奈川フィル・チケットサービス電話045(226)5107
第14回フレッシュ・コンサートは1月9日午後2時開演。全席指定3千円。チケットは神奈川フィル・チケットサービス電話045(226)5107

 心から音楽を楽しんでいることが伝わる、演奏中の生き生きとした姿が印象的だが、大学入学後は指導者との関係で悩んだこともあった。その頃から支えとなってくれているのが指揮者の下野竜也さん。「もう10年以上お世話になっている。褒められたら素直に受け取りなさい、というアドバイスにはハッとしました」。オーケストラの前では取り繕わず、自分ができることを100パーセント出し切ることを大切にしているという。

 影響を受けた指揮者の一人に、先日亡くなったラトビア出身の世界的指揮者マリス・ヤンソンスさんを挙げる。「いつも優しい表情で、人間味と音楽の喜びにあふれている演奏に憧れます」。今後はオペラにも積極的に取り組んでいきたいという。「特に、リヒャルト・シュトラウスの『ばらの騎士』はベルリンの大学で集中的に勉強した大切な作品。音楽も美しいので、いつか指揮したいですね」

おきさわ・のどか
 指揮者。青森県出身、ベルリン在住。東京芸術大学音楽学部指揮科卒業。同大学院音楽研究科指揮専攻修士課程修了。ハンス・アイスラー音楽大学ベルリン修士課程オーケストラ指揮専攻修了。第18回東京国際音楽コンクール〈指揮〉で第1位および特別賞、齋藤秀雄賞を受賞。第56回ブザンソン国際若手指揮者コンクール優勝。同時に聴衆賞およびオーケストラ賞を受賞。

記者の一言
 「ヘンゼルとグレーテル」は県民ホールでの公演だった。「練習の合間に、横浜港を眺めてリラックスしたことを覚えています」と横浜の思い出を語ってくれた。

 多くの公演を抱えて忙しい日々を送っているはずだが、透明感のある柔らかい雰囲気が印象的だった。同世代の指揮者たちとも仲が良く「横山奏さんや太田弦さんなど、指揮者だけでよく飲んでいますよ」と気さくな素顔も。信頼できる指導者や仲間を得て、大好きな音楽に取り組む幸福感が、その演奏に結実しているのかもしれない。

 
 

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