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水野学さんに聞く ヨコハマネイビーブルーに託した願い

K-Person | 神奈川新聞 | 2022年11月21日(月) 21:00

水野学さん

 「ツイッターで『相鉄/かっこいい』と検索すると、たくさんコメントが出てくる。県民としてこれほど誇らしい気持ちはないですね」

 「ヨコハマネイビーブルー」と命名された、横浜の海から着想を得た深いブルーを身にまとったエレガントな車両が市街を駆け抜ける─。2017年に100周年を迎えた相鉄グループ(横浜市西区)のブランディング全体を手がけた。車両、駅舎、制服のリニューアルデザインなどその仕事は多岐にわたる。

 「高校生の頃、横浜スタジアムでアイス売りのアルバイトをしていました。その頃は『横浜大洋ホエールズ』だった。中華街にもよく通っていました」

 茅ケ崎で育ち、青春を過ごした横浜の街にも愛着がある。ただ、「東海道線沿いで育った人間にとって、相鉄線は二俣川に行く時に乗る程度。あまりイメージがなかった」という。

 熊本県のPRキャラクター「くまモン」をはじめ、生活雑貨や食品、企業のロゴまで数々のヒット作を手がけた。「人間もそうだけど、なかなか自分の良さに気づけない。人に取り出してもらって磨いてもらうと、すごい良さを発揮する」と語る。

イメージカラー「ヨコハマネイビーブルー」を身にまとう相鉄の車両

 当たり前過ぎて依頼主さえ見落としていた「っぽさ」=「そのものらしさ」を見つけ、長所を考え抜く作業を大切にする。「イメージがないからこそ、リブランディングをするにはとてもやりがいがある」と、相鉄の大役も引き受けた。

 「相鉄線は横浜のど真ん中を走っている」。この特徴を膨らませ、「横浜の印象をまとって、都心でも走ってほしい」と、イメージカラー「ヨコハマネイビーブルー」を生み出し車両にまとわせた。来春には東急との直通線も開業。“ハマっ子”たちを乗せ、そのアイデンティティーは更に広がっていくだろう。

 「美意識」を問うと、それは「機能美」だという。「日本人は“美”というと装飾のことをすぐ思い浮かべますが、機能があることがまず大切です」

 誰もが使いやすいデザインであることが、愛着を生み、知らず知らずのうちに生活の中に溶け込み、人々を豊かにしていく。身の回りにはそうして生み出された水野のデザインがあふれている─。「美術教育は絵を描くことが先で知識はあまり教えなかった。絵の上手さではなく、どんな背景でこの絵が生まれたのか作者の哲学を知ることが大切。美意識は学ぶことによって豊かにできるんです」

みずの・まなぶ
 クリエーティブディレクター/クリエーティブコンサルタント。1972年東京都生まれ、茅ケ崎市育ち。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、98年に「good design company」設立。商品企画、ロゴ制作、パッケージデザイン、インテリアデザイン、宣伝戦略、長期的なブランドコンサルティングまでをトータルに手がける。主な仕事に相鉄グループ、熊本県「くまモン」、中川政七商店、三井不動産、Oisix、久原本家「茅乃舎」、興和「TENERITA」、黒木本店、尾鈴山蒸留所、NTTドコモ「iD」、ほか。2012~16年度に慶応義塾大学SFCで特別招聘(しょうへい)准教授を務めた。

記者の一言
 「湘南地区の海岸線のリニューアルが夢ですね」。目を輝かせる水野さん。妻も湘南地区で育ち、大学まで過ごしたという茅ケ崎に愛着を持つ。代官山にたたずむ事務所も自身のデザイン。開放的な造りで、どこか湘南らしさも感じた。趣味は「仕事、息子と遊ぶこと、旅」で、「旅をしていても『ここにこういうホテルがあれば』と、いつも仕事モードになってしまう」と笑う。三浦半島の先端にある「小網代の森」がお気に入りの場所だ。「マグロもスイカも海もある」と三浦の自然を慈しむ。水野さんがブランディングした三浦半島も見てみたい!

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