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近藤岳さんに聞く 〝ルーシー〟と共に次代につなげる音

K-Person | 神奈川新聞 | 2022年10月24日(月) 15:22

 横浜みなとみらいホールのパイプオルガンの愛称は“ルーシー”。輝くような明るい音色にふさわしく、光を意味するラテン語に由来するという。

 「ルーシーは、公共のホールで求められるパイプオルガンの在り方そのもの。オーケストラとの対峙(たいじ)では対等に音楽ができるパワフルさがある一方、繊細さも兼ね備えている」と評する。

 ホールオルガニストに期待される役割は多様だ。楽器の状態の日常的なチェックをはじめ、初めてルーシーを演奏するオルガニストには使用方法や特性を説明し、同ホールが主催するパイプオルガン事業へのアドバイスや広報も担う。

 「お預かりしている立場であり、次の世代へ引き継ぐ役目もある。演奏することで気付くことも多く、普段は『町のかかりつけのお医者さん』として、見守っています」とほほ笑む。

 パイプオルガンとの出合いは遅かった。中学時代に合唱コンクールで歌う曲を手がけたり、NHK大河ドラマのスケールの大きな物語に合ったテーマ音楽にはまったり、と作曲に魅力を感じていた。

 東京芸大で作曲を学び、オルガニストでもあった作曲家メシアンのフーガに魅了されて、副科にオルガンを選んだ。だが、「メシアンがきれいに弾けない。何だこの楽器は」と練習にいそしんだ。恩師から演奏家の気質を指摘されて、オルガニストの道に進んだという。

 「やればやるほど、オルガンの奥深さや難しさを感じる。一生かかっても追究は終わらないんだろうなと思います」

 昨年1月から行われた同ホールの改修工事に合わせ、ルーシーも初めて大掛かりなオーバーホールを実施。解体し、掃除や経年劣化した部品を交換した。11月に開く、ホールオルガニスト就任を記念した演奏会=写真はチラシ=は、生まれ変わったルーシーとの初リサイタルでもある。演奏するビドールの「オルガン交響曲第6番」やフランクのコラールといった19~20世紀のフランス音楽は、ルーシーが得意な響きの一つだという。

 「豊かで大きな響きにあふれ、たった1人のオーケストラを聴いているような感じ。かっこよさ、優しさ、面白さ、と自由なイメージを楽しんでほしい」

こんどう・たけし
 オルガニスト、作・編曲家。1973年、茨城県生まれ。東京芸大音楽学部作曲科卒。同大別科オルガン科修了。同大学大学院修士課程音楽研究科(オルガン)修了。2006年、文化庁新進芸術家海外研修員としてパリに留学。東京芸大、国立音大の非常勤講師。04年7月~18年3月、ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市幸区)のホールオルガニスト。22年4月、横浜みなとみらいホール(横浜市西区)の第2代ホールオルガニストに就任。 ※11月25日、同ホールで「近藤岳オルガン・リサイタル」を開催。午後7時開演。一般3千円。問い合わせは同ホールチケットセンター電話045(682)2000。

記者の一言
 パイプオルガンは、設置されている施設に合わせて、一台一台、つくりも音色も違う。例えば、ミューザ川崎シンフォニーホールのパイプオルガンはスイス製で「最初は線の細さがあった。イメージとしてはスイスの朴訥(ぼくとつ)な青年」だという近藤さん。アメリカ製のルーシーは陽気な女の子といったところだろうか。近くで見ると鍵盤の左右に「ストップ」と呼ばれるたくさんのスイッチが。さまざまな音色が割り当てられており、どのストップを使うかで音色を変えたり、音を重ねたりして、自分が求める音楽が決まる。その選択は演奏者によって異なり、電子データで設定を保存するという。今回のオーバーホールでは、データを保護するロック機能が強化されたそう。外観からは見えない改良もあるのだ。

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