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大関万結さんに聞く 地元での舞台に悦び深みのある人間に

K-Person | 神奈川新聞 | 2022年4月11日(月) 20:24

大関万結さん

 これまで東京都内での公演が多く「横浜でやっと弾けるようになったと思うとうれしい」と笑顔を見せる。モーツァルトと同じ誕生日で22歳。5月31日のコンサート=写真=では、そのモーツァルトのバイオリン協奏曲第3番を演奏する。

 「モーツァルトの散歩に付き合っているようで、『あの花がかわいい』『あ、気持ちいい風が吹いてきた』と、その場で感じたことを、そのまま音楽にしたような純粋さを感じる」。それだけに「心の状態が清らかでないと、きれいな音質で弾けない。シンプルだからこそ、なかなか難しい曲」だという。

 生まれ育った横浜市保土ケ谷区に練習拠点がある神奈川フィルハーモニー管弦楽団メンバーとの共演。「親しみを持っている地元のオケだからこそ、密に打ち解けた音楽が、一緒にできるといいな」と期待を抱いている。

 3歳からバイオリンを始め、国内最高峰の学生音楽コンクール中学校の部で1位に輝くなど早くから実績を残してきたが、「人に評価されるのってなあに、という気持ちで、コンクールは好きじゃなかった」という。「そんな私が」と恐縮しつつも、コンクールを目指す後輩たちに「人と比べるのではなく、自分自身の評価が一番。今の自分が持てる実力をどこまで出しきれたか。自分と向き合う場にしてほしい」とアドバイスを送る。

 神奈川新聞社主催の「かながわ音楽コンクール」にも、2013年に中学生の部に出場し、バイオリン部門特選を受賞した。県立音楽堂(同市西区)で本選が行われ、「黄色いドレスを着て演奏したのを覚えている。隣に立つ県立図書館には、小さい頃からクラシックのCDを借りに通っていたし、伊勢山皇大神宮では七五三も。あの辺りは親しみがある」と振り返る。

 戦前戦後の演奏家が好きで、特にティボーやクライスラーは人間的にも面白みがあり、「試験に落ちそうな演奏をする。それはもちろん下手という意味ではなくて、縛られていないんです」と敬愛。

 「人生経験を積んでこそ、深い味わいのある演奏ができると思う。中身が薄ければ、作曲家が渾身(こんしん)の思いで吐き出したものに反応できない。演奏家である前に、深みのある人間になりたい」

 5月31日、戸塚区民文化センターさくらプラザ・ホールで「大関万結×神奈川フィルハーモニー管弦楽団メンバー」コンサート。午後3時開演。全席指定3千円。問い合わせは横浜みなとみらいホール仮事務所チケットセンター、電話045(682)2000。

 *大関さんの体調不良により公演は中止になりました。(5月16日発表)

おおぜき・まゆ
 バイオリニスト。2000年横浜市生まれ、保土ケ谷区在住。 桐朋女子高校音楽科卒。ウィーン私立音楽芸術大に留学中。 13年全日本学生音楽コンクール中学校の部全国大会1位、17年ヤッシャ・ハイフェッツ国際バイオリン・コンクールファイナリストおよびディプロマ賞、日本音楽コンクール第1位ならびに岩谷賞(聴衆賞)、18年横浜文化賞文化・芸術奨励賞、東京都知事賞を受賞。

記者の一言
 5月のコンサートではR・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」からワルツも演奏する。「金管楽器の響きが重要な曲なので、弦だけで演奏するのは新しい試み」と話す大関さん。「いつも何かに挑戦したいと思っています」と前向きな力強さにあふれる。留学中のウィーンでは自炊して伝統料理にもチャレンジしているという。授業がオンラインになるなどコロナ禍の留学生活は、ままならないこともあるが、「ロシアへの留学を断念した人もいる。自分が音楽ができるのは、平和だからこそ」としみじみ。「きれいごとかもしれないが、音楽はずっとそばにいてくれるものなので、こんなメロディーがあったな、とつらい時に思い出してくれたら。何もできないのがもどかしい」。きりっとした音楽家の顔だった。

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