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沼尻竜典さんに聞く 既に手応えあり、演奏機会増やしたい

K-Person | 神奈川新聞 | 2021年12月12日(日) 14:00

沼尻竜典さん

 2022年4月に、神奈川フィルハーモニー管弦楽団(神奈川フィル)の第4代音楽監督に就任する。今年9月末に行われた就任発表の会見では「神奈川フィルを振るときは自分の場所に帰ってきたような感覚がある」と語った。何度も共演経験があり、楽団員から絶大な信頼を寄せられているという。

 「屈指の名ホールの横浜みなとみらいホール、歴史的建造物でもある県立音楽堂、県の文化を支えてきた県民ホール、と恵まれているが、ホール周辺に限らず、県内の人々に広く知っていただきたい。神奈川フィルの予定表が冷蔵庫に張ってある家庭を増やしたい」とこれまで以上に県内各地での演奏を考えている。

 神奈川フィルの印象は「若々しく、各首席奏者はいい人がそろっている」と笑う。「この先10年ですごく良くなる手応えが既にある」と自信たっぷりだ。

今年9月末に行われた就任発表の会見

 「それぞれ違う音楽性を持った人が集まって生まれる共鳴が面白い」とオーケストラの魅力を語る。「指揮者はワンマン企業の社長のようにも見えるが、実際は横(各パート)とのつながりがあって進んでいく。生身の人間の手で演奏され、同じ曲でも1回ごとに違う。思いと思いがスパークするような演奏ができれば」

 実は神奈川フィル以上に、神奈川とのゆかりが深い。中学3年の時に作曲した合唱曲「木遣(きや)りの名人」が、県による創作合唱曲のコンクールに佳作で入選し、県立音楽堂で小田原少年少女合唱隊によって歌われた思い出がある。

 3歳からピアノを習い、早くから作曲に関心を持った。中学校では、生徒会役員選挙に立候補したクラスメートにテーマソングを作り、みんなで歌って校内で流行したと明かす。

 「キャンディーズや沢田研二など、歌謡界がきらびやかな時代。クラシックより、商業音楽に興味があった。14年に作曲したオペラ『竹取物語』には、昭和の歌謡スタイルを反映させた」

 就任披露公演は4月23日。ピアニストの児玉麻里を迎えてヘンツェの「ピアノ協奏曲第1番」と、ブラームスの「交響曲第1番ハ短調」を演奏する。「ブラームスはごまかしが利かない。1回目でありのままの姿を見ていただきたい」

ぬまじり・りゅうすけ
 指揮者、作曲家、ピアニスト。1964年生まれ、東京都出身。桐朋学園大卒後、ベルリン芸術大に留学。90年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。以来、国内外のオーケストラで客演を重ね、東京フィルハーモニー交響楽団や名古屋フィルハーモニー交響楽団などで指揮者のポストを歴任。95年「トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ(現、トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア)」を結成、音楽監督に就任。97年「後宮からの誘拐」でオペラ指揮者としてデビュー。2007年びわ湖ホール芸術監督就任。17年紫綬褒章受章。21年ENEOS音楽賞洋楽部門本賞をびわ湖ホールと共同受賞。

記者の一言
 就任発表後の10月16日、神奈川フィルの県民名曲シリーズ公演がハーモニーホール座間で行われ、沼尻さんが指揮を務めた。公演前にはプログラムの聴きどころを自ら解説するプレトークがあり、巧みな話術で観客を引きつけた。演目はロッシーニの歌劇「ウィリアム・テル」序曲。冒頭のチェロ五重奏が美しいが、有名なのはその後のメロディー。「私の世代では『オレたちひょうきん族』のテーマ曲といえば分かりやすいけれど、最近はそう言ってもオケの半分くらいはぽかんとした表情で、寂しい思いをしますね」と軽妙な語り口で笑いを取った後は、木管楽器が降り始めた雨を表現しているなど分かりやすい説明が続いた。演奏後の盛大な拍手は解説の多大な効果だろう。まさに「つかみはOK」だった。

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