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【K-person】柳亭小痴楽さん
令和の大看板目指し、寄席に軽やかな風吹かす

K-Person | 神奈川新聞 | 2021年1月10日(日) 12:00

柳亭小痴楽さん

柳亭小痴楽さん

 シックな着物をさらりと着こなす姿は、落語に登場する「若旦那」さながら。滑らかで軽妙な語り口で、観客をあっという間に江戸の町にいざなっていく。二つ目時代から寄席やテレビ番組で活躍し、2019年9月に真打ちに昇進した。キレの良い古典落語で勢いに乗る、人気の若手落語家の一人だ。

 父親は5代目柳亭痴楽。「イケメン二世落語家」で「江戸口調が持ち味」と紹介されることも多いが「江戸言葉に自信があるわけじゃないし、柳家花緑師匠みたいな二世らしいスマートさがあるわけでもない。何だか説明しがたい、面倒な奴でしょう」と謙虚に語る。

 1月31日にはみどりアートパーク(横浜市緑区)で柳家わさびとの「新春寄席」、2月23日には関内ホール(同市中区)でわさび、春風亭一之輔との「三人会」に登場する。「わさび兄さんは編集能力が高く、古典の味付けがうまい。すごく計算してネタを作っているんだけど、ひょうひょうとしたコミカルさもあって、ずるいんですよね」と笑う。

「みどりアートパーク 新春寄席」 1月31日午後2時開演。前売り2500円、当日2800円。問い合わせはみどりアート&メディアパートナーズ電話045(986)2441。

 「初めて落語を見る人の入り口になれれば」と言うとおり、落語会には若い観客も多く訪れる。その際に「古典落語を現代的にアレンジする手法が勉強になる」のが一之輔。「八っつぁんがボケて隠居が流すのが落語の常識。でも一之輔兄さんの場合、隠居が突っ込んでいる。テンポや間を変えるだけでぐっと面白さが増すんです。憧れの落語家ですね」

 落語芸術協会の若手11人で結成し、二つ目ブームをけん引したユニット「成金」(19年に解散)は「自分を成長させてくれた存在」。講談師の神田伯山をはじめ、桂伸衛門、瀧川鯉八らメンバーも真打ちに昇進し、活躍の場を広げている。

 そんなメンバーを温かく応援してくれたのが落語芸術協会会長も務めた桂歌丸さんだった。「言葉の選び方がおしゃれで粋な師匠。ネタだけでなく、ホールやテレビでの見せ方なども教えてもらった。師匠に『ちぃ坊』と呼んでもらい、かわいがってもらえたのは僕の財産です」

 6代目痴楽襲名については「責任を負いたくないんですよね」と苦笑いするが「おやじが世話になった師匠方には襲名するところを見せたい」ときっぱり語る。「二世だから継ぐのではなく『あの小痴楽が』と思ってもらえるようでないと、今の時代は名跡を継ぐ意味がない。まずは落語家としてしっかり力を付けて、結果を出さなければと思っています」(太田 有紀)

りゅうてい・こちらく
 落語家。1988年東京都生まれ。2005年二代目桂平治(現・桂文治)へ入門。08年、父・柳亭痴楽の門下に移る。09年、痴楽没後柳亭楽輔門下へ移り、同年二つ目昇進。13年、落語芸術協会所属の二つ目落語家・講談師で構成されるユニット「成金」を結成。19年真打ち昇進。NHK教育テレビ「落語ディーパー! ~東出・一之輔の噺のはなし~」などに出演中。

記者の一言
 大の読書家で筆も立つ小痴楽さん。エッセー集「まくらばな」(ぴあ)では、文章のリズムにセンスが光る。特に、破天荒だが何事にも筋を通すことを大事にした5代目痴楽さんの逸話はまるで落語のようだ。「輩(やから)みたいなおやじでしたけど、礼儀についてはたたき込まれましたね」。

 成金でも「落語界の礼儀」をメンバーに教える役目を担っていたという。取材時も自ら座布団を並べ、外で丁寧なお辞儀をして見送って下さった姿に、硬派な一面を見ることができた。

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