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【K-person】東山紀之さん
舞台上演の意義、かみ締めて

K-Person | 神奈川新聞 | 2020年12月6日(日) 12:25

【おことわり】6日付本紙掲載「K―Person」の記事で、東山紀之さん主演の舞台「チョコレートドーナツ」の開幕を7日としていましたが、公演関係者3人の新型コロナウイルス陽性が判明したため、初日が延期となりました。7~16日の公演は中止が決定、18日以降の開催については劇場の公式サイトで発表されます。

東山紀之さん

シンガーを夢見ながらショーダンサーとして生きる主人公のルディ

 親に見捨てられたダウン症のある少年と同性愛者のカップルが家族になるさまを描いた映画「チョコレートドーナツ」(トラビス・ファイン監督)。7日に開幕する同名タイトルの舞台版(宮本亞門演出)に主演する。国内外でヒットした本作の舞台化は世界初。「非常に光栄です」と、真っすぐな瞳で語る。

 演じるのはゲイのショーダンサー、ルディ。1979年、米カリフォルニア。ゲイであることを隠している検察官のポール(谷原章介)と出会い、たちまち引かれ合っていく。

 育児放棄されたダウン症のあるマルコ(高橋永、丹下開登)が、ルディのアパートの隣室に住んでいた。2人は母親が薬物所持容疑で逮捕されたこの少年と暮らすようになる。マルコが好きな人形でいっぱいの部屋をしつらえ、宿題を手伝い、眠りにつく前には必ずハッピーエンドの物語を聞かせた。「マルコという希望の光を見つけ、ポールと一緒に育てることが彼の目指す道になっていく。その勇気を表現している作品です」

 実話に想を得た本作は、社会がいかに異端と見なした者を排除してきたかを切々と映し出す。ゲイであることを知られたルディとポールはマルコと引き裂かれ、やがて養育権を巡り法廷闘争へ。激しい同性愛差別にさらされる。

 「2人は覚悟を決めて世の差別と闘う。それは並大抵のことではない。でも、それが社会を変える一歩となる」。日本でも今現在、婚姻の平等と権利を求めて闘う同性カップルたちがいる。「だからこそ、より皆さんの受け皿となり得る舞台になると感じています」と上演の意義をかみ締めつつ、「どんな愛の形も敬意を持って接するべき。僕自身がルディを演じることで、見てくれる人たちにそうしたメッセージを感じ取ってもらいたい」と言葉をつないだ。

 「差別のなか、貧困のなか、人間の屈折や弱さが抑えきれないエネルギーへと向かっていくところに僕は惹(ひ)かれる。そして そこで育まれる愛情に温かさを感じる」。川崎で過ごした少年時代や表現者としての自身についてつづったエッセー本「カワサキ・キッド」(2010年、朝日新聞出版)に記した一節が、どこかルディたちの姿と重なる。

 「感情の起伏が激しく、でもとても愛情深いルディを思い切り演じます」。落ち着いた声色の中に、役への熱く誠実な思いが深くにじんだ。

ひがしやま・のりゆき
 1966年、川崎市生まれ。85年に少年隊として「仮面舞踏会」でデビュー。翌年、数多くの音楽祭で最優秀新人賞を受賞。個人としても俳優、タレントとして広く活躍。近年の舞台作品は「英国王のスピーチ」「NO WORDS,NO TIME」「フランケンシュタイン」「ジャンヌ・ダルク」「泥棒役者」など。「刑事7人」「必殺仕事人」などテレビドラマ主演も多数。主演映画「おとなの事情 スマホをのぞいたら」の公開を控える。PARCO劇場オープニング・シリーズ「チョコレートドーナツ」は東京・PARCO劇場で7~30日(8、11、17、24日休演)。チケット1万3千円ほか。問い合わせはパルコステージ電話03(3477)5858。

記者の一言
 「チョコレートドーナツ」は大好きな映画だ。ルディ役のアラン・カミングさんが見せる、明るさの中に孤独を捉えた演技に何度も胸を打たれる。東山さんも、やはりカミングさんの「命を削るような」芝居が強く印象に残っていると明かしてくれた。

 ルディとマルコによる心温まるシーンの話を振ると、「そうして親になっていくんだよね」としみじみ。そう、親になるのに血のつながりやセクシュアリティーは関係ない。作品と真摯(しんし)に向き合う東山さんのルディも、きっと観客の心をつかんで離さないだろう。

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