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【K-person】浜野謙太さん
観客と共有したい かみ応えある一作

K-Person | 神奈川新聞 | 2021年4月18日(日) 10:00

浜野謙太さん

浜野謙太さん

 日が暮れそうでなかなか暮れないさまを表す「暮れなずむ」。この言葉を命令形に変容させた造語がタイトルの青春映画「くれなずめ」に出演する。共演は成田凌さん、高良健吾さんら旬の俳優陣。「この座組でできると知りめちゃくちゃうれしかったです」と、オファーを受けた喜びを明かす。

 監督・脚本は劇団「ゴジゲン」主宰の松居大悟さん。初の長編映画「アフロ田中」(2012年)を皮切りに「アズミ・ハルコは行方不明」(16年)、「君が君で君だ」(18年)など、独創性の高い作品を次々と生み出す気鋭の監督だ。

 「意味不明な世界観も含め、松居君にしか撮れない作品にいつもパワーをもらっていた。ずっと一緒に映画をつくりたかったんです」。監督も自身を「作品の中にいてほしい存在」と評価。双方にとって念願のタッグとなった。

「くれなずめ」は29日からkino cinema横浜みなとみらい、109シネマズ川崎ほか全国公開=(C)2020「くれなずめ」製作委員会

 同劇団が上演した舞台を映像化した「くれなずめ」。高校の帰宅部仲間だった6人が、友人の結婚式に参加するため5年ぶりに再会する。余興に失敗して意気消沈する中、2次会に向かう間の「今」、おのおのの記憶がよみがえる「過去」が交錯していく。軽快なコメディーながら、ある出来事を境に胸にしこりを残す彼らの繊細さがじんわりとにじみ出る。

 6人のうち唯一の既婚者となった青年「ソース」を演じる。「前は面白いキャラだったけど、時とともに別のコミュニティーの色にも染まっていく人。でも、いつも目の前のことに全力。当て書きかと思うほど自分に似ているところがあった」と、自らを役に重ね合わせた。

 芝居に音楽、2本柱の活動を続ける。今回、演者として新たな発見があったか問うと、熟考の末にゆっくりと口を開いた。「(あるシーンで)号泣したんです。監督と共演者に操られ、制御が利かない感覚を覚えたのは初めて。自分が子どもみたいだなと思って。でも、そういうところに愛が生まれるのかなあ」

 「友達に書いた手紙のよう」と監督が明かす本作はまさに、言葉にならないいとおしい瞬間を鮮やかに照らしている。タイトルの通り曖昧であることをとがめない肯定的な世界が広がる一作だ。

 そんなかけがえのない時間を観客と共有したいと思う。「松居君の個人的な感情も込められたこの映画が、僕たち俳優に託された意味は大きい。6人がどれだけの力量で厚みのある物語を紡ぎ出せたか。とてもかみ応えのある作品です」

はまの・けんた
 ミュージシャン、俳優。1981年横浜市戸塚区生まれ。バンド「在日ファンク」ボーカル兼リーダー。俳優としても映画、ドラマ、CMなど多数出演。映画「婚前特急」(2011年)で第33回ヨコハマ映画祭・最優秀新人賞。主な出演作に「武士の献立」(13年)、「ディアスポリス―DIRTY YELLOW BOYS―」(16年)、「8年越しの花嫁 奇跡の実話」(17年)、「おいしい家族」(19年)、「ロマンスドール」(20年)など。

記者の一言
 ずっとお会いしてみたかった。映画「おいしい家族」で、妻を失った主人公の父親が新たなパートナーとして迎え入れる男性を好演。真に迫ったせりふ、醸し出す自由な空気感、何よりも、ただいるだけで場が朗らかになるその存在が魅力的だった。
 
 政治的発言もいとわない。そのことに触れると「言いたいことを我慢しなくてもいい」と浜野さん。一市民として鋭く社会を見つめる姿勢を応援したい。わが子への弁当作りに励む一面も。時間が許せば、政治や子育ての話もしたかった。またの機会を願いつつ、念願の取材を終えたのだった。

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