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【1964東京五輪】〜アーカイブズで振り返る神奈川〜
村長日記(番外編) 東京五輪いよいよ開幕

連載 | 神奈川新聞 | 2020年10月10日(土) 09:00

 1964年の東京五輪。神奈川には相模湖のカヌー選手村と大磯のヨット選手村が設けられた。神奈川新聞では両村長が日々の出来事をつづった「村長日記」が連載された。五輪イヤーの今年、当時の日付に合わせてこの連載を再び掲載します。海外旅行が一般的でなかった時代、世界各国の五輪選手を迎える緊張や戸惑い、喜びなど臨場感あふれる描写から、1964年と違うもの、変わらないものが見えてきます。

 現代の観点では不適切な表現もありますが、1964年当時の表現、表記をそのまま掲載しています。(※)で適宜編注を入れました。

 今回は番外編として、1964年10月10日、東京・国立競技場での開会式を見た両村長の手記(10月11日付)を再び掲載します。

両村長の見た開会式

聖火リレー最終走者の坂井義則氏が聖火台に点火=1964年10月10日、東京・国立競技場

大磯村長・馬飼野正治さん

 すばらしく感動的な開会式で、坂井君が聖火台に立ったときには涙がこぼれそうだった。近くにいたニュージーランドのヨット監督ブラウンさんも「メルボルン大会やローマ大会など、足もとにもおよばないすばらしさだ。これは決してお世辞ではない」とほめていた。

 私自身、ドイツ、オランダ、ユーゴで開かれたヨットの世界選手権に参列したが、演出のうまさが全然違う。こんどはなにが出てくるかと観客が期待する機先を制して、間髪を入れず、次のプラグラムに移って行くタイミングのよさには感心した。電子音楽に乗った鐘の音は日本そのもの─八万人の大観衆の心を見ごとにゆさぶったと思う。

 入場行進は各国ともお国ぶりを見せ、それぞれに味があったが、最高はギリシャ。「参加することに意義がある」とするオリンピックの精神を、小学生のうちから正課で教えている国柄だけに、きりっとした行進だった。日本もよかった。ちょっとキザに思えた赤いブレザーコートが、集団だと非常によい。歩き方も日本選手としては、これまでで一番よかった。順位をつければギリシャ、日本、ノルウェーとなろう。

ヨットのハラルド5世皇太子を旗手に入場行進するノルウェー選手団(左)。柔道のヘーシング選手が旗手を務めるオランダ選手団(右)=1964年10月10日、東京・国立競技場

 わが村の皇太子(ノルウェーのハラルド皇太子)が、ふだんと同じきまじめさで行進されたのが目についた。オランダのヘーシング選手(柔道)の堂々たる旗手ぶりもほめたい。もう一人、わが村の道化師、ギリシャのクリストスさん(国王付きのボートマンで海軍大佐)が、これまでにない厳しゅくな面持ちで行進しているのがおかしかった。彼は毎晩、私の部屋へきて、おもしろおかしい話で笑いのタネをまいていく。村に帰ったら、さっそくひやかしに行きます。


相模湖村長・松原五一さん

 色と音のすばらしい交錯─色とりどりの観覧席とビロードを敷きつめたような芝生に音楽がマッチしてすばらしい交響楽だった。国体は十回くらいみなれているが、オリンピック開会式ははじめて。スケールがまるでちがう。国体は日本人だけだが、オリンピックは世界の人たち。「世界は一つだ」という印象でジーンとして冷静さを欠いてしまった。

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