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【1964東京五輪】〜アーカイブズで振り返る神奈川〜
村長日記(19) 汗拭き合う国際親善

連載 | 神奈川新聞 | 2020年10月6日(火) 09:00

 1964年の東京五輪。神奈川には相模湖のカヌー選手村と大磯のヨット選手村が設けられた。神奈川新聞では両村長が日々の出来事をつづった「村長日記」が連載された。五輪イヤーの今年、当時の日付に合わせてこの連載を再び掲載します。海外旅行が一般的でなかった時代、世界各国の五輪選手を迎える緊張や戸惑い、喜びなど臨場感あふれる描写から、1964年と違うもの、変わらないものが見えてきます。

 現代の観点では不適切な表現もありますが、1964年当時の表現、表記をそのまま掲載しています。(※)で適宜編注を入れました。

相模湖選手村のメインストリートでバドミントンに興じる人たち=1964年10月、相模湖町(現在の相模原市緑区)与瀬

即製試合にお国ぶり

相模湖選手村村長・松原五一

 秋晴れのすがすがしいひよりが続いて、山峡の地をいろどる自然の風物は日増しに季節の装いをこらして、仕事に疲れたわれわれの目を楽しませてくれる。

 村の一日は、まず朝の国旗掲揚からはじまる。最近、めっきり多くなった各国の選手がじっと見守る中で、何ら気おくれのようすもみせず、りりしい態度でつとめてくれる少年たち(※地元の中学生らが国旗掲揚にあたった)には、いつの日にかこの感動が再現され、忘れがたい思い出の一ページを飾るものとして銘記されることであろう。

 選手たちもパチリパチリとさかんにカメラを集中させているが、日本のあすをになうこの少年たちをながめてどのような感じをいだいているであろうか。機会があればぜひ聞いておきたいものである。

 午前中、寸暇を得たので、お隣の八王子の自転車選手村(※高尾駅の近くで、現在は陵南公園などになっている)に行ってみた。相模湖町から大垂水峠、高尾を経て八王子にいたるのだが(※国道20号。この区間の中央道は1968(昭和43)年に開通)、途中ものすごい自動車ラッシュが続いているのに驚かされた。

 いったい何事が起ったのかと、よくよく考えたら、なんときょうは日曜日だ。甲府方面にドライブをかねたブドウ狩りの群れが延々と続いているものとわかった。日曜日であることなどすっかり忘れていたが、村の勤務についてからは、曜日の観念が失われてしまったらしい。

 忙しがるのではないが土曜、日曜もない勤務状況でこうなってしまった。自分はともかくとして、他の職員諸君には、大いにがんばっていてくれることに甘えるだけでなく、適度の休養もとってもらわねばならないと深く反省させられた。

 八王子選手村はわが村よりやや規模も大きく、自転車競技場のすぐかたわらに設けられている。内容的にはわれわれの方がよいのではないかと思ったのは、あながちわが田に水引くだけでもあるまい。星野村長さんは過労でたおられ、目下静養中とか。これも全くひとごとでなく自分自身も大いにきをつけねばと思った。それにしても星野村長のご回復を切に祈ってやまない。

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