他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. 連載・企画
  3. 企画
  4. 横浜みなと新聞
  5. 「8代目」市庁舎、着々 環境に配慮、災害対策も

「8代目」市庁舎、着々 環境に配慮、災害対策も

横浜みなと新聞 | 神奈川新聞 | 2018年11月5日(月) 14:10

2020年6月の供用開始を目指し着々と整備が進む新市庁舎=横浜市中区、10月25日撮影
2020年6月の供用開始を目指し着々と整備が進む新市庁舎=横浜市中区、10月25日撮影

 横浜高速鉄道みなとみらい線馬車道駅(横浜市中区)近くでは現在、複数の高層ビル建設が進む。

 その一つが、横浜市の新市庁舎だ。2020年6月末の供用開始予定。18年度中には、地下2階地上32階、高さ約155メートルの建物の外観が姿を現す。

 1889(明治22)年、人口11万6千人でスタートした同市。市庁舎は、関東大震災や横浜大空襲などによる移転を繰り返し、1959年、7代目の現市庁舎がJR関内駅前(同区)に完成した。

 市によると、今回の移転に至った背景にはさまざまな要因がある。建物の老朽化やICT(情報・通信技術)環境の遅れ…。人口増に伴い職員の数が増えた結果、関内周辺の市職員約6千人のうち1600人が市庁舎、残る4400人は周辺22の民間ビルに分散して働くという事情も理由の一つだ。年間約20億円の賃料が発生している。

 東日本大震災を機に、大規模災害時も業務を継続できる市庁舎建設への機運が高まり、市民意見などを踏まえ、2013年3月に新市庁舎整備基本構想が策定された。

 「8代目」は低層部(1~3階)が市民利用スペースや商業施設、屋根付き広場など、中層部(3~8階)が議会機能、高層部(9~31階)が行政機能という構成。キーワードは「環境」と「BCP(事業継続計画)対策」だ。

 環境面では、太陽光発電のほか、天井面に温水や冷水を流すことで室内の温度を調整する「輻射(ふくしゃ)空調」、自然換気を可能とする吹き抜け空間「エコボイド」を導入。コンテナ車両1台分ほどの大きさの燃料電池も置かれ、発電した電力は市庁舎全体の1割を賄えるという。

 「最新の技術を取り入れ、高レベルの省エネ、低炭素型の庁舎を目指す」。担当者は意気込む。燃料電池など環境面での取り組みが実感できるような来庁者向け見学コースもつくる計画だ。

 災害対策としては、中間層に免震・制振装置を設置し、7日間使用できる非常用電源を確保。2階には、津波時に避難滞留スペースとしても機能する避難デッキも設ける。津波による浸水を防ぐため、電気室や非常用発電機といった主要な設備機器は4階に置く。

 全体の工事費約750億円という一大プロジェクト。担当する職員たちは「50年、100年に一度の事業に携われることに、やりがいを感じている」と口をそろえている。

 
 

新庁舎に関するその他のニュース

横浜みなと新聞に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

企画に関するその他のニュース

アクセスランキング