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プラスチックごみ 海への流出水際で食い止める
港WORKER:大岡川で清掃活動

横浜みなと新聞 | 神奈川新聞 | 2016年10月31日(月) 17:10

沈んだ自転車を引き上げる豊田さん(手前)ら=5月21日、横浜市中区
沈んだ自転車を引き上げる豊田さん(手前)ら=5月21日、横浜市中区

写真家、NPO活動家 豊田直之さん


 海に大量に漂い、深刻な環境破壊を引き起こすと懸念されている微細なプラスチックごみ。人々が暮らす川から海へと流れ出ていることに警鐘を鳴らす写真家がいる。NPO法人「海の森・山の森事務局」理事長も務める豊田直之さん(57)=横浜市港北区=は「海の汚れは、川で食い止めなければならない」と訴え、横浜の中心市街地を流れる大岡川で仲間や子どもたちと共に活動にいそしむ。

 豊田さんは4月から、大岡川でスタンドアップパドルボード(SUP)を楽しむ「横浜SUP俱楽部」代表の柿澤寛さんらと共に陸上と水面の2班に分かれて定期的にごみ拾いを続けている。

 5月には川に投棄された自転車の撤去作業に着手し、9月24日のごみ拾いはこれまでで最も重い81キロ超となった。地域住民をはじめ子どもたちやSUP仲間など参加者が増えたことや、行政機関の協力を得たことで、活動の幅が広がっている。

 毎回非常に多いのは、レジ袋をはじめ菓子類の包みやペットボトルなどのプラスチックごみだ。薄くて軽いため雨水で流れたり、風が吹くだけでも川に落ちやすい。

 小回りが利くSUPは川面に落ちているプラスチックごみを簡単に拾うことができる。「海に流れ出て微粒になる前に、できる限り拾い集めたい」。豊田さんに共感した柿澤さんは普段からごみを拾うようになり、SUP仲間たちの新たな習慣になりつつある。

 豊田さんは東京水産大(現・東京海洋大)卒。セールスエンジニアとして働いたメーカーを退社し、イセエビ漁師など転職を重ねた。釣り雑誌のライターだった27歳の時に水中カメラマン中村征夫さんと出会い、アシスタントに。31歳で写真家として独立した。

 「海に潜っていると、水の最初の一滴が生まれる川の源流が次第に気になり始めてね」。豊田さんはNPO法人を立ち上げ、子どもたちと源流を訪ねる「神奈川滝体験ツアー」活動を行うなど、県内各地の川と海とを行き来するように。その時、相模湾に漂うプラスチックごみは相模川から流れ出たものと気付いた。

 大岡川は常にごみが浮かび、県内で最も汚い川だと思っていた。昨年、河口にあたる横浜港から「氷取沢市民の森」(同市磯子区)にある源流まで歩いた際、豊かな自然が川沿いにあることを知った。「横浜という大都会にありながら、河口から源流域までさまざまな種類の野鳥や昆虫が見られることに驚いた」

 川を汚していたのは、私たちだった。豊田さんは大岡川に残る自然を伝えようと、ビジュアルを最大限に生かしたA3判の「大岡川ニュース」創刊号を7月20日に発行。10月20日には第2号を発行し、各回3千部を配布した。市内の百貨店で写真展を催すほか、映像に合わせて演奏を楽しんでもらう「ビジュアルコンサート」も手掛け、写真の力で社会を変えようとしている。

 桜木町近くの川岸には2020年をめどに新市庁舎が完成する。豊田さんは「この川がもっときれいになっていく姿を発信することで、同じ課題を抱える全国の河川の目標になりたい」と語る。「大岡川を横浜のシンボルとして、源流域から河口まで一斉に清掃する日を決めてもいい」

 環境や人体に悪影響を与えるとされるプラスチックごみを拾い続ける先に、中学生からの釣り好きとして一つの夢がある。

 「大岡川のハゼやウナギをおいしく食べられる時代を迎えられたらうれしい」


大岡川の護岸で集めたごみの前でポーズを決める豊田さん(左)と柿澤さん=5月21日、横浜市中区
大岡川の護岸で集めたごみの前でポーズを決める豊田さん(左)と柿澤さん=5月21日、横浜市中区

「大岡川を横浜のシンボルに」と呼び掛ける豊田さん=9月25日、横浜市中区黄金町
「大岡川を横浜のシンボルに」と呼び掛ける豊田さん=9月25日、横浜市中区黄金町

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