横浜市は、外国客船で訪日する外国人乗客や乗組員らに市内回遊を促す新事業「クルーズ・フレンドリー・プログラム」を始めた。下船して実際に訪れたくなる地元の観光施設や飲食店、店舗などを掲載したマップを配布し、各事業者は訪日客向けに割引サービスなどを展開。横浜港から市内を素通りし、東京などへ観光に向かう傾向が強いとされている外国人乗客らを街中に誘導することで、市内での観光消費額を高める狙いだ。
参加事業者は、横浜港周辺の64の飲食店と46の物販店などを含む126社・団体。三渓園などの観光施設をはじめ、みなとみらい21(MM21)地区や桜木町、横浜駅などの商業施設、元町や石川町などの地元店舗が名を連ねる。
外国人乗客や乗組員は大さん橋、新港などの客船ターミナルで配布されているプログラムマップを入手し、参加施設や店舗を巡る。対象の事業者はロゴマークやフラッグを掲げており、プログラムマップを提示することで割引などのサービスを受けることができる。2020年3月末まで外国客船入港時に約30回実施し、以降も継続する予定という。
市はプログラムの積極的な周知を働きかけていくため、会員制交流サイト(SNS)やスマートフォンアプリによる情報発信を始めたほか、客船運航会社の協力を得て船内での告知にも取り組む考えだ。
市によると、このプログラムは、もともとは南フランスのクルーズ拠点・ヴァール県が始めたもの。クルーズ向けの地域一体型誘客プログラムを世界で展開しているのはこのプログラムだけで、南仏の10近くの港でも実施。港の周辺を回遊する乗客らが増えており、観光消費が増額するという成果を挙げているという。
プログラムのロゴや枠組みは世界共通のため、リピーターが多い欧米系の乗客や乗組員、欧州の客船会社から認知されている。市はプログラムを導入するため、アジアで初めてヴァール県商工会議所との間でライセンス契約を締結した。
市役所で10月に行われた締結式で、荒木田百合副市長は「観光地としての横浜の魅力に触れていただき、横浜での街歩きや買い物を楽しんでいただきたい」と期待し、横浜港を国内外にプロモーションすることへの意気込みを示した。