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海上輸送支える「裏方」 曳船、全国の港で活躍

横浜みなと新聞 | 神奈川新聞 | 2019年11月5日(火) 11:45

タグボート「大安」の小谷和弘船長
タグボート「大安」の小谷和弘船長

 客船やコンテナ船など大型船舶(本船)の入出港時、かじや推進器の代わりの役目を果たし、安全かつ素早く離着岸できるよう補助する作業船が、タグボート(曳船(えいせん))だ。海上輸送に欠かせない「裏方」として、横浜港をはじめ全国の港で活躍している。

 本船に乗り込んだ水先人のオーダー(指示)に応じて、頑丈なタグボートの船体を押し付けたり、タグライン(ロープ)で引いたりして本船のスムーズな離着岸をサポート。ときに「あと10センチ」などと繊細な操船を求められることもある。


小谷船長(左から3人目)と「大安」の乗組員=横浜市中区の山下ふ頭
小谷船長(左から3人目)と「大安」の乗組員=横浜市中区の山下ふ頭

 日本郵船グループの新日本海洋社(横浜市西区)は、横浜、川崎、千葉・木更津の4港で27隻のタグボートを運航。そのうちの1隻「大安(だいあん)」の船長・小谷和弘さん(42)は「安全第一で、いかにうまく操船するか。オーダーにできるだけ『できない』とは言いたくない」。操船技術の向上を追い求める人が多く、「職人気質が高い」という。

 「大安」(総トン数256トン)は2200馬力の強力なエンジンを2基搭載し、日本を代表する豪華客船「飛鳥Ⅱ」(同約5万トン)を1隻で動かせるほど。特殊な推進器で360度の旋回ができる小回りの利く船体も特長だ。

 「風、潮、オーダー、本船の船形などを自分で考えて、挑戦して、今日はうまくいったとか失敗したとか、そういう駆け引きがある。教科書がない仕事。機械が考えだすのではなく、自分で教科書をつくる面白さがある」と小谷さん。それ故、「いま世の中で言われている人工知能(AI)や自動運転という訳にはいかない」と語る。


自動車専用船の着岸を補助するタグボート
自動車専用船の着岸を補助するタグボート

 父親がバスの運転手だった影響で「何か運転する、動かす仕事」を志した。親戚に曳船業界の人がおり、出身地・千葉県にある国立館山海上技術学校に進学し、海の職場に飛び込んだ。

 新人の最初の仕事は、船内の掃除や食事作り。当時は昔かたぎの先輩が多く、厳しい指導の一方で「作業と作業の合間の移動では、かじを持たせてもらった。忙しかったが、面白かった」と笑顔で振り返る。

 船長になって5年。タンカーから客船、液化天然ガス(LNG)運搬船、自動車専用船など、さまざまな船舶の入出港に関わり、日本のライフラインを支える。だが、小谷さんは「与えられた仕事をやるだけ。結果として、船が無事に入出港してくれれば、それでいい」。飾らない言葉に、裏方の誇りがに

 
 

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