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海上防災チーム「機動防除隊」出動400件 きれいな海守れ

横浜みなと新聞 | 神奈川新聞 | 2020年9月9日(水) 08:30

 海を汚す油や有害物質の流出に対処する海上保安庁で唯一のプロフェッショナル集団が横浜港にいる。横浜機動防除基地(横浜市中区)を拠点する「機動防除隊」は1995年の発足以来、国内外での海難や自然災害に出動。7月には累計400件に達した。インド洋の島国、モーリシャス沖での貨物船事故でも活躍するなど、海洋汚染に日々、目を光らせている。

コンテナに入れた最新鋭の油防除資機材を紹介する細川隊長=横浜海上防災基地

 機動防除隊が最初に注目されたのは発足から間もない97年。1月に日本海で「ナホトカ号」重油流出事故が、7月に東京湾で「ダイヤモンド・グレース号」原油流出事故が立て続けに発生、いずれも隊員が現地で応急対応に奮闘した。

 油や危険物の大規模な流出は深刻な環境汚染を引き起こし、漁業者や近隣住民の生活に甚大な影響を及ぼす。火災や爆発、有毒ガスの発生を伴う場合も少なくない。海上防災体制を強化するため、海保は翌98年、横浜海上防災基地内に横浜機動防除基地を新設して隊員数を増強。現在は基地長などのほか、隊員16人、4隊を配置している。

インド沿岸警備隊(手前)と連携訓練を行う機動防除隊員ら=2017年1月、横浜港

 「現地では流出の原因者や関係者に回収方法などの指導やアドバイスをすることが主な業務。必要に応じて自らも資機材を使いさまざまな作業を担います」

 赤色の出動服に身を包む主任防除措置官の細川祐一隊長(36)はこう説明する。被害を最小限にとどめるためには事故に関わる官民の関係者が連携して迅速、的確に対応することが求められる。「関係者間の調整役としても海上災害に立ち向かう専門家集団が必要なのです」と力を込める。

高粘度の油を回収する実験を披露する機動防除隊=第3管区海上保安本部

 海保といえば、海難救助のスペシャリスト「特殊救難隊」が有名。“海猿”と比べて体力面はそれほど要求されない代わりに、機動防除隊は豊富な専門知識と高い技能、つまり頭脳が求められる。隊のワッペンに「海の知恵者」で知られるアホウドリの羽根がデザインされているゆえんだ。

 海を汚す油や危険な化学物質の種類、その対処法はさまざま。横浜国立大学で学び、専門家らと調査研究を行う隊員もいる。最新の知見は全国各地での研修会や、国際協力業務として東南アジア諸国への海上防災に関する技術支援と教育訓練に生かされている。

訓練でオイルフェンスを張る機動防除隊=2017年、横浜海上防災基地

 出動総数が400件となったのは7月25日夜。川崎市内にある京浜運河沿いの桟橋施設から原油が海上に流出した事故に対応した。8月には国際緊急援助隊・専門家チームとして同隊から2人をモーリシャスに派遣。現地では流出油の汚染状況を調査した。

 「今後も自己研鑽(けんさん)を重ねて高度な知識と技能を身に付けて、より質の高い活動を進めたい」。細川隊長はきれいな海を守るため、対処能力のさらなる向上を誓った。

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