第2次世界大戦などで戦死した軍人・軍属らを「英霊」としてまつる靖国神社(東京都・九段北)。15日の敗戦の日には毎年、A級戦犯が合祀(ごうし)されている同神社への参拝が大きくクローズアップされる。遺族の間でも、同神社への受け止め方はさまざまだ。大切な親族を神とする神聖な場、天皇の名の下に兵士を死に追いやったシステムを体現する場…。父親を先の大戦で亡くした3人の遺族が今夏、同神社への思いを語り合った。
3人は、錦織順子さん(75)と、いとこの内田敦子さん(75)=いずれも横浜市旭区、そして錦織さんと同じく、同神社への政治家の公式参拝に異議を唱える神奈川平和遺族会に所属する吉田哲四郎さん(78)=同市瀬谷区。軍人・軍属だった3人の父親はアジア・太平洋各地で戦死した。
きっかけは、内田さんの自宅でこの夏、文集「靖國神社への旅」が見つかったことだ。
1952年4月、サンフランシスコ平和条約が発効し、連合国による日本の占領が終わると、全国の戦没者遺族が自治体ごとに同神社を集団参拝した。錦織さんと内田さんが当時暮らしていた島根県では53年から60年まで毎年、中学3年生が訪れていた。2人は59年に参加。文集は参拝後の生徒の感想をまとめたものだ。