中止が「検閲事件」として海外からも注目された、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」内の企画展「表現の不自由展・その後」は今、「表現の不自由展・A Long Trail for Liberation(解放への長い道程)」として、台北で今月7日まで開かれている。コロナ禍で一層、鮮明になった社会の息苦しさ。同展の実行委員で、美術・文化社会批評のアライ=ヒロユキさんは、こうした現状に同展を通じて今後も疑問を投げ掛けていきたいと話す。
─不自由展は現在、台湾で開催されている。
「あいちトリエンナーレでの中止を契機に、韓国で2019年8月、『表現の不自由展事件と東アジアの平和芸術』とのシンポジウムが開かれ、招かれた。同じ年の11月には、不自由展の実行委員会が『芸術弾圧に抗する東アジアの友に捧(ささ)げる賛辞』として同国の金復鎮(キムボクチン)賞を受賞。そして、翌月に済州島で開かれた合同展にも招待された。暴力や戦争の問題を掘り下げ、芸術から平和を模索する内容だ。このイベントを見に来た台湾の台北当代芸術館(MOCA Taipei)の館長が、ぜひ台北で開催してほしいと伝えてきたことから、台湾でも開催する流れになった」