
【時代の正体取材班=服部 エレン】「自分が全く想定されていない世界で、独りぼっちでいる感覚」。異性愛が当然とされ、自身の性別を何ら疑うことなく生きられる人が大半のこの社会で、性的少数者の多くは孤独を深めやすい。自民党の国会議員が同性カップルを念頭に「生産性がない」などと暴論を述べるなど、当事者に向けられる偏見は今なお根強いが、トランスジェンダー男性の遠藤まめたさん(31)=横浜市青葉区=は呼び掛ける。「一歩を踏み出すことで、理不尽な世の中を変えられる」
7月に2冊目の単著「オレは絶対にワタシじゃない-トランスジェンダー逆襲の記」(はるか書房)を出版した遠藤さん。多様な性をアピールする街頭イベントの企画や若者の居場所づくりなど、10年余りにわたる自身の社会活動を一冊にまとめた。「前に進めば新たな世界が見えてくる」とうたう本書は、性的少数者であってもなくても、人知れず社会を変えたいと願う人に「共に立ち上がる方法がある」と背中を押してくれる。

2人の兄を持つ末っ子。「待望の女の子」として生まれたが、リカちゃん人形など女子向けとされる物は幼少期から苦手だった。スカートに至っては「脅威」。小学生の頃は作文で「わたし」と書くことに強い抵抗を覚えた。