
川崎市が成立を目指すヘイトスピーチを含む差別を包括的に禁止する条例について、福田紀彦市長は18日、ニュージーランドで起きたイスラム教徒への銃乱射事件を例に「ヘイトクライム(差別を動機にした犯罪)を生む状況をつくり出さないためのルールになる」との考えを示し、制定の必要性を説いた。定例会見で見解を述べた。
11日に市議会に骨子案を示した条例について、福田市長は「国内外で分断や差別が大きな動きとなり、かつてと違う社会状況を生み出している。従来の取り組みに加え、さらに高いレベルでルールを定める必要がある」と強調した。
白人至上主義者により50人が殺害されたニュージーランドの事件に対しては、「ヘイトクライムが世界中に広がっている状況に憂慮している」とした上で「条例で全てが解決するわけではないが、ヘイトクライムを生まない土壌をつくる上で有効だと思う」と条例の意義を説明した。
市の対策や啓発にもかかわらず、市内では人種差別団体がヘイトクライムを誘発するヘイトスピーチを繰り返している実態がある。福田市長は「市民の総意で条例を作り、皆で差別をなくしていく。制定後も調整を続けなければならない」と述べ、差別の根絶へ総合的で不断に取り組んでいく姿勢を示した。導入を検討中の罰則規定を巡っては、「効果的に差別をなくす方法は何かという観点で検討している」とした。