「姉さん! 十銭で何か食わしてくんないかな、十銭玉一つきりしかないんだ」。労働者は飯を頬張る。失業した「私」も貧しい食事で腹を満たす。林芙美子の自伝的小説「放浪記」に描かれた大正時代の飯屋の光景である ▼近代の工業化と都市化で労働力は農村から都市へ集中した。「胃袋の近代」(湯澤規子著、名古屋大学…
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「姉さん! 十銭で何か食わしてくんないかな、十銭玉一つきりしかないんだ」。労働者は飯を頬張る。失業した「私」も貧しい食事で腹を満たす。林芙美子の自伝的小説「放浪記」に描かれた大正時代の飯屋の光景である ▼近代の工業化と都市化で労働力は農村から都市へ集中した。「胃袋の近代」(湯澤規子著、名古屋大学…