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病児の学び、学生が支援 横浜市大のボランティア団体

PR | 神奈川新聞 | 2023年5月24日(水) 05:00

 横浜市立大学の学生ボランティア団体「one by ONE」が、入院中の子らに寄り添う活動を続けている。院内家庭教師として勉強を教えたり、イベントの開催を通じて楽しみを届けたり─。SDGsの「質の高い教育をみんなに」に通底する取り組みは、活動の幅とともに学生自身の夢も広げている。

 団体設立のきっかけは、小児病棟がある総合病院などに設けられている院内学級の支援を受けられない病児の存在だったという。

 「院内学級を利用するには転校手続きが必要で、短期入院の場合や私立の学校に通っているケースでは利用しづらい場合もあります」。そう話すのは、今年4月に代表に就いた看護学科3年の中道陽菜さん。勉強をしたい全ての子どもの学びを手助けできないかと医学部の学生が中心になって動き出し、2018年12月に同大付属病院(横浜市金沢区)でone by ONEは産声を上げた。

子どもたちの入院生活を支える「one by ONE」のメンバー、左から井上さん、白川さん、中道さん=横浜市立大金沢八景キャンパス

 活動は学習支援とイベント開催の二本柱だ。いずれもオンラインで画面越しに行っており、現在は新入生を含めた約40人のメンバーが携わっている。

 家庭教師は原則週1回の1時間程度で、イベントは2、3カ月に1回の割合で実施。ピアノ演奏会やクリスマスツリー作りなど家族と一緒に楽しめる企画を考案している。

 病児の不安を解消するための工夫は欠かさない。あくまで体調を優先し、授業はときにおしゃべりの時間で終えることも。授業内容のほか、児童・生徒の雰囲気や好きなこと、配慮したいことなどを報告書にまとめ、学生間で共有しているのも特徴だ。

 「時々声をかけて休憩をつくってあげて」「次回も授業後におしゃべりしたいと話していました。ディズニーが大好きです」。事細かく記すことで、担当の学生が代わっても一人一人に合わせた教え方ができるようにしている。

 運営は大学や、公益財団法人の公募による助成金などで賄い、活動は無償。タブレット端末も無料で貸し出す。取り組みは多くの賛意を得て広がり、今は県立こども医療センター(横浜市南区)、愛知県のあいち小児保健医療総合センターでも支援している。

 やりがいは大きい。授業で親密になるうちに自然とこぼれてくる笑顔、イベントで作ったバッグを抱きしめて発した「宝物にする」との言葉…。それらは学生の新たな夢を生んでいる。

 中道さんと共に中心的な役割を担う国際教養学科2年の白川愛子さん、医学科2年の井上智香子さんはそれぞれこう話す。「一人一人と真摯(しんし)に向き合っている今の姿勢を将来教員として生かしたい」「その子がその子らしく過ごせるように意識して活動している。医師になった後は、病気だけでなく、患者さんの生活や家族、人生までを視野に入れながら支えたい」

 団体名には「子どもたち一人一人(one)を少し大きな大人(ONE)が支えたい」「子どもたちがoneからONEへ少しずつ大きく成長してほしい」との思いが込められる。中道さんも言う。「子ども一人一人の笑顔や成長も大切にし、多くの人に寄り添える看護師を目指したい」
(下屋鋪 聡)

(企画・制作=神奈川新聞社「2030 SDGs」編集室)

 
 

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