2020年に政府の「ジャパンSDGsアワード」で特別賞「SDGsパートナーシップ賞」に輝いた川崎市立平間小学校(同市中原区、佐川昌広校長)で、多岐にわたる取り組みがさらに“加速”している。23年度には創立80周年を迎える同校。「子どもも大人もみんなハッピー」をキャッチフレーズに、地域も巻き込んで幅広い試みにチャレンジしている。目指すは「SDGsのまち平間」。そんなSDGsあふれる雰囲気に触れてみたいと、同校を訪ねた。(波多野 寿生)
同校が掲げる印象的な言葉がある。「平間プライド」。
案内してくれた佐川校長が語る。「大切なのは自分たちのまち・学校が誇れること。子どもたちに自信を持ってほしいのです」
着任5年目の佐川校長は、以前から環境やエネルギー教育に力を入れてきた。国の「SDGs未来都市」に市も選定されており、学校として具体的にどういう取り組みが必要か試行錯誤してきた。
同校のアプローチの特徴は主に三つ。まず「学校全体で行う」。学校として目標を掲げ、子どもたちも自ら「SDGsで未来をつくる 毎日が最高になる学校へ」などのスローガンを考えて実践しているほか、教員だけでなく職員もPTAも一緒に取り組んでいる。
二つ目は地域の多様な団体と連携していること。例えば、出前授業に協力してもらうだけでなく、子どもたちも地元の平間銀座商店街の横断幕をデザインしたり、清掃活動を実践したりと主体的に取り組む。
三つ目は「SDGsアクション」という言葉に代表される行動重視の姿勢。SDGsって何?-という段階から進み、学年ごとに野菜作りだったり、多摩川の“探検”だったり、水害の歴史調査だったり…と、行政や企業とも連携しつつ取り組みを深めている。
具体的な成果は、子どもたちが取材した「ひらまSDGsマップ」制作や地元商店街の盛り上げ役就任など多彩に結実。市から「SDGsゴールドパートナー」に認証されたほか、CO2削減に貢献したとして「スマートライフスタイル大賞」最優秀賞なども受賞している。
そんな同校の象徴的イベントの一つが、毎年恒例の平間SDGsフェス。今回は1月21日に開かれ、市地球温暖化防止活動推進センターをはじめ企業や環境団体、福祉施設、バスケットボール男子Bリーグ1部(B1)の川崎ブレイブサンダースなど数十の団体が協力。各団体のブース展示や出前授業、水害対策プロジェクトなど学年ごと(3~6年)の学習発表-といった多彩な企画が展開された。
「子どもの幸せは大人のウェルビーイング(持続的な幸福)から」と佐川校長。「成果は出ているが、さらにやるべきことがあります」。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の平和などの理念を実践するために世界の学校が連携する「ユネスコスクール」へ加盟申請中なのも、その一つだ。
大切なのは全員で取り組むこと。佐川校長は「より多くの人に参加してもらえれば。そして(川崎市だけでなく)一緒に『SDGsかながわ』を目指してほしいです」と期待を込めた。
川崎市立平間小、目指すは「SDGsのまち」
マップを手に、取り組みを説明する佐川校長 [写真番号:1140757]
動物愛護や脱炭素、食品ロス、海のゴミ問題など幅広いテーマで行われた出前授業=1月21日、SDGsフェス(平間小学校提供) [写真番号:1140781]
地元企業、団体などが出展したブース見学=1月21日、SDGsフェス(平間小学校提供) [写真番号:1140782]
3~6年生が日頃の成果を披露した学習発表=1月21日、SDGsフェス(平間小学校提供) [写真番号:1140785]