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障害者就労を支えるレストラン 新たな価値で共生を 

PR | 神奈川新聞 | 2022年6月20日(月) 05:00

 設立10周年を迎えたチョコレート工房「ショコラボ」(横浜市都筑区)が、古民家を活用したレストラン「久右衛門邸」を同市戸塚区名瀬町に開業してほぼ1カ月。福祉事業所として全国初という同工房は、障害者と健常者が一緒に働く就労継続支援施設で、さらにその取り組みを発展させようとアイデアを温めてきたのがレストラン開業だった。オープン後の評判も上々で、これまでの手応えや今後への期待を、運営母体である一般社団法人「AOH」代表で店主の伊藤紀幸さんに聞いた。(遠藤 陽子)

古民家活用、モデル事業に

手応えと今後への期待を語るAOH代表の伊藤さん

 「利用したお客さまから『記念日の会食にもふさわしい料理と雰囲気』などの声が連日寄せられている。滑り出しは順調で、ほっとしています」と伊藤さんは顔をほころばす。

 「レストランを共生社会のモデル事業にしたい」。伊藤さんがアイデア実現に向けて具体的に着手したのは3年ほど前。知人で飲食業を展開する「エイト」代表の近藤一美さんが、代々受け継いできた実家の古民家活用を思案していたことを知り、声をかけた。

 敷地は約2千平方メートル。メインのレストランとなる母屋は幕末の1836年に建てられ、立派な骨組みや太い柱や梁(はり)を持つ建物だ。水路がめぐらされ、初夏にはホタルも飛び交うなど豊かな自然環境も楽しめる。

 その環境・規模から、開業までは苦労の連続。市役所各部門への許可申請は複雑を極めたほか、条例に基づく環境整備、周辺道路や土地所有者との折衝、耐震補強工事なども行った。専門家や地元の支援もあり開業にこぎつけられたという。

初夏にはホタルも飛び交う自然豊かな庭が見渡せる個室
食後のデザート。ショコラボのチョコも添えられる

「お客さまの反応にやりがい」

 敷地内で収穫されたタケノコなどの食材や、提携している農家の野菜などが料理に供されるなど地産地消の試みも。安田望美さんら3人の障害者を含むスタッフたちは裏方作業と給仕もこなす。

 「工房と違い、お客さまの反応が直接伝わる。緊張もするが、やりがいもあります」と安田さん。将来は飲食店で働きたいという目標もあり、ファンである「俳優の鈴木亮平さんが来店してくれたらいいな」とほほえむ。彼女のような就労移行希望者を支援するのが同法人の目的でもある。

 伊藤さんがうれしそうに語る。「ランチでも少々高額なこの店に、うちで働く人が家族と訪れてくれた。“割り勘”で会計する様子に、自分の給料で食のぜいたくを楽しめる実感が伝わってきた」。店を開業させた苦労が報われた瞬間だったという。

 事業を立ち上げた時から伊藤さんが一貫してこだわってきたのは「障害のある人たちが生きがいをもって働く場をつくる。彼らの給料をアップさせる」こと。

 さらに「今回、二次産業で働いてきた障害者と健常者が力を合わせ、レストランという三次産業へとかじを切った。ここを新たな価値を生みだす『六次産業』へと飛躍させたい」と話している。

 ◆六次産業 一次産業(農林漁業)と二次産業(製造業)、三次産業(サービス業)を一体化させ、豊かな地域資源を活用した新たな付加価値を生み出そうとする取り組み。

 ◆古民家レストラン「久右衛門邸」 横浜市戸塚区名瀬町2026。東戸塚駅からバスで「さかえ橋」下車。徒歩約5分。昼は午前11時半~午後3時、夜は午後5~9時(いずれも1時間前ラストオーダー)。月曜日定休。ランチは3500~8000円、ディナーは8000~1万6000円のそれぞれコース3種(いずれも税別、予約制)。☎045(811)1234。

(企画・制作=神奈川新聞社「2030 SDGs」編集室)

 
 

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