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長周期波「速報」に課題、気象庁が検討/神奈川

社会 | 神奈川新聞 | 2011年12月4日(日) 12:51

大地震で発生する地震波
大地震で発生する地震波

大地震の際、超高層ビルや石油タンクなどを大きく揺らし、特有の被害や影響をもたらす「長周期地震動」。観測はできるが震度には反映されず、地表ではほぼ感じられない特殊な地震波だが、その発生をリアルタイムで知らせ、被害軽減を図ろうと、気象庁が11月から取り組みを始めた。しかし、構造物の大規模化に伴う新たな検討事項だけに、マンション住民の安全確保やエレベーターの閉じ込め防止といった対策につなげるには課題もある。

■「目が回る」

気象庁が発表する震度は主に2秒以下の短周期地震動を基にしており、木造住宅などに影響する。一方、超高層ビルを揺らす長周期地震動は数秒から十数秒とされている。

東日本大震災の長周期の状況について、気象庁が東京都内の高さ60メートル以上のオフィスビル34棟を対象に行った調査では「船酔いのように気分が悪くなった」「目が回って座り込んだ」といった証言が相次いだ。半数の17棟が「歩けない」「立っていられない」状態だったという。

川崎市のコンビナートでは石油や重油タンク16基で浮き屋根が損傷したり、油が流出したりした。長周期による「スロッシング」(液面揺動)という現象が起きたためだ。

影響は首都圏にとどまらなかった。震源から700キロ以上離れた大阪市内で55階建ての大阪府庁舎が大きく揺れ、エレベーターが停止。乗っていた人が閉じ込められた。

大阪市の震度は3。震源からの距離に応じて弱まる短周期の影響でなく、遠くまで衰えないまま伝わる長周期が原因とみられている。

■地盤も影響

長周期の影響が目立ち始めたのは、2000年代に入ってから。(1)03年の十勝沖地震の際、北海道苫小牧市で石油タンクの火災が発生(2)04年の新潟県中越地震では東京都心の六本木ヒルズでエレベーターのロープが損傷―などが挙げられる。

その背景として気象庁は「1996年ごろからマンションやビルの高層化が急速に進んだ」ことを指摘。超高層が多い三大都市圏(東京、名古屋、大阪)には揺れを増幅させる軟弱地盤が広がっており、長周期の影響が表れやすいという事情も重なっている。

一方、ビルの高さによる影響の違いもある。気象庁検討会座長の翠川三郎東京工業大教授によると「おおむね階数の0・1倍の秒数が揺れやすい周期」。30階建てのビルは周期3秒、50階建てなら周期5秒の揺れに「共振」するという。

■混乱の懸念

気象庁は検討会で、ビルの高さに応じて地域ごとに「大揺れ度1」「大揺れ度2」といった表現で長周期の発生を知らせるアイデアを示したが、発表の対象や方法などクリアすべき課題は多い。一案として活用が期待された緊急地震速報は、誤報や空振りのリスクがつきまとう。

検討会は11年度中に提言をまとめる方針だが、11月14日の初会合では「一般向けと事業者向けで発表内容を区別すべき」「あまり細かい情報を出すと、混乱を招く可能性がある」といった指摘や注文が相次いだ。

翠川教授は「東海、東南海、南海の連動地震では、長周期の影響が震災以上になると懸念されている。発表時にどのような行動を取るべきかも含め、分かりやすい情報提供を目指したい」と話している。

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