
横浜で生まれ育った写真家・森直実さん(63)の個展「横濱百景」が4日まで、横浜市中区吉田町のギャラリーミロで開かれている。昨夏から練り歩いて撮りためた「横浜の何でもない風景」を中心に、浮世絵を思わせる独特な加工を施した83点が並ぶ。
横浜をあらためて撮ろうと思ったきっかけは、イセザキモールの顔だった松坂屋(旧野澤屋)の解体だった。「思い出が消えていく気がして、普通の横浜の町を自分なりの目で撮りたいと思った」。ベイブリッジなどの観光名所もあるが、そのほとんどが古い民家や、日常のさりげない風景だ。
写真は加工を経て浮世絵のような風合いとなっている。「現実の写真はそれ以外の何物でもない。加工して現代の錦絵のようにすることで、誰の中にもある消えた町への懐かしさや追憶、イメージへとつなげたかった」。作品は写真と絵画の境目に位置している。
撮影3日後に再訪した民家が取り壊されていたこともあった。「われわれが見ている風景ははかなく、危うい。靴3足を履きつぶして集めた作品を見に来てほしい」。会場には連日、森さんが控えている。
入場無料、午前11時~午後6時半(最終日は午後5時まで)。問い合わせは、ギャラリーミロ電話045(263)0201。1日から18日まで市立中央図書館でも展示を行う。
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