漁獲量が減り続けているマコガレイの成長が、緑色発光ダイオード(LED)の光を稚魚に当てることで促されるとする共同実験結果を、県水産技術センター(三浦市)などが発表した。白熱灯の下で育てた場合に比べ、体重が約1.4倍に育ったことが実証されたという。同センターや県栽培漁業協会(同市)では約20年前から稚魚の種苗生産・放流を続けており、研究結果が資源回復につながるか期待されている。
共同実験は同センターと北里大海洋生命科学部魚類分子内分泌学研究室(相模原市)、照明メーカーのスタンレー電気(東京都)で実施。今年3月下旬から4週間、約1500匹のマコガレイの稚魚に、1日9時間半にわたり緑色LEDの光を照らした。白熱灯を照らした稚魚よりも、平均で体長は1・16倍、体重が1・44倍となった。
大きい稚魚ほど逃避能力が高まり、他の魚に食べられるリスクも減るという。同センターは「この技術を応用して放流効果を高め、資源回復につなげたい」。本年度中に赤や青色のLEDを使って同様の実験を行い、研究を進めていく。
マコガレイは身に脂が乗る夏場に旬を迎えるとされる。学名は明治時代の標本の産地が横浜の海だったことにちなみ「プレウロネクテス・ヨコハマエ」。だが同センターによると、主要水揚げ港の一つでもある柴漁港(横浜市)の水揚げは、統計が残る約490トン(1986年)をピークに減少傾向。2015年は約16トンに落ち込んだ。
柴漁港の漁獲量は全体的に20~30年前に比べて減っており、漁業者らは近年は養殖や稚魚放流などにも注力している。今回の実験結果に同市漁業協同組合柴支所は「将来的に江戸前のマコガレイがたくさん取れて、港に昔の活気が戻れば」。県内で鮮魚店を営む男性(48)も「夏場のマコガレイは高く、昔から店には出なかった。安価で店頭に並ぶといい」と話している。