6日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際、ミサイルの通過・落下空海域の船舶・航空機に対する警報を日本政府が発射から約13分後に出していたことが9日、分かった。同日の衆院安全保障委員会で、槌道明宏内閣審議官が「航空機船舶への警報は、防衛省からの情報を得て午前7時47分以降に逐次発出した」と説明した。
質問に立った民進党の青柳陽一郎氏(衆院比例南関東)は、発射が同34分だったことを踏まえ「通常発射から着弾、落下まで5分から10分かかる。7時47分ではおそらく、落下直前か落下後だった」と指摘。
その上で「通常この水域にはイカ釣り漁船が30~40隻、沖合底引き漁船が20~30隻いて、空には成田からのヨーロッパ便が70~80機飛んでいる。一歩間違えば大惨事になっていた」と述べ、警報の在り方を見直すよう求めた。
稲田朋美防衛相は「ミサイル発射後速やかに内閣官房に情報提供し、内閣官房から関係省庁を通じて警報が発出された。しかし、国民の生命財産を守り抜くためには、より迅速かつ適切に情報伝達することは極めて重要。さらに迅速な情報伝達ができるように努めていきたい」と述べた。
敵基地攻撃能力検討を
民進・後藤氏
民進党の後藤祐一氏(衆院16区)は9日の衆院安全保障委員会で、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対応するため、「敵基地攻撃能力を検討するべきだ」と訴えた。
後藤氏は「北朝鮮が一度にたくさんミサイルを撃ってきた場合、なかなか守り切れないのではないか。(迎撃ミサイルの)質量を増やしてもお金がかかるし、限界がある」と指摘。その上で「ミサイル防衛で答えが出ないのであれば、敵基地攻撃能力を検討するべきだ」と訴えた。
これに対し、稲田朋美防衛相は「問題意識は共通している」としながらも、「自衛隊は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有していないし、計画もない。国民の生命財産を守るため、国際法と憲法に合致した範囲内でさまざまな検討をする」と述べるにとどめた。
後藤氏は「残念。(敵基地攻撃の検討を始めると)言ってはいけない縛りでもあるのか」と発言し、「(北朝鮮の脅威が)新しい段階に入ったのであれば、検討を始めるべきだ」と重ねて主張した。