東日本大震災による神奈川県内の被害集計で、川崎市が市内での死者数を1人から2人に修正したことが分かった。発生から2年後に震災関連死と認定された男性を計上していなかったためで、これにより、県内での死者数は横浜市内2人、藤沢市内1人を含め計5人となった。
東日本大震災の全体的な被害状況は、総務省消防庁が年に2回、都道府県を通じて各市町村に照会し、取りまとめた上で公表している。死者数については、家屋の倒壊や津波などによる発生直後の「直接死」だけでなく、避難中に体調を崩したり持病が悪化したりして亡くなる「関連死」も報告するよう求めている。
ところが川崎市は、震災翌日の帰宅途中に市内で死亡し2013年に関連死と認定された男性=死亡当時(48)=を死者数に計上しておらず、直接死だった生後10カ月の男児のみを国に報告していたことが昨年3月、神奈川新聞社の取材で判明。市はその後、確認作業を進め、7月に死者数を2人に修正した。
同市では、関連死の認定や災害弔慰金の支給は福祉部門が担当しており、国に被害を報告する危機管理室が関連死認定の状況を把握していなかったという。危機管理室は「横の連携が取れていなかった。今後はこうしたことのないよう対応したい」などとしている。
被害を集約している消防庁応急対策室は「各自治体には、被害状況を精査した上で関連死も含め正確に報告してもらいたいが、これだけ規模の大きい災害なので計上漏れなどがないわけでない」としている。
「関連死」後を絶たず 広範囲に避難、全容把握難しく
2万人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災の被害の全容は、発生から6年が迫る今もつかめていない。