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森づくりで就労支援、障害者の「生きがい」に 活動5年で成果着々/平塚

社会 | 神奈川新聞 | 2011年9月25日(日) 12:02

ビニールハウスでポッド苗づくりに取り組む「どんぐりグループ」のメンバー=平塚市飯島
ビニールハウスでポッド苗づくりに取り組む「どんぐりグループ」のメンバー=平塚市飯島

苗木の栽培、販売によって、森づくりと知的障害者の福祉的就労の底上げを図ろうという平塚の障害者施設の取り組みが着実な成果を挙げている。社会福祉法人「進和学園」(同市万田、出縄雅之理事長)が2006年10月、ドングリ拾いから始めた「いのちの森づくり」プロジェクトは、丸5年となる来月を目前に、苗木の出荷数が4万5千本を超えた。苗木は県内外で植樹され、森林再生や緑化に活用されている。障害者の貴重な就労の場になり、施設の収益の柱の一つになる期待も高まっている。

プロジェクトは、学園の前理事長、故・出縄明さんが、国際生態学センター長で横浜国大名誉教授の宮脇昭さんが進める「潜在自然植生」に基づく森づくりに共鳴したのがきっかけ。

学園周辺を見渡せば、神社や雑木林などに「潜在自然植生」である常緑広葉樹のシイ、タブ、カシ類の木が多くあり、ドングリがいくらでも拾える。栽培した苗木で森がつくられ地球環境に貢献できれば、学園の知的障害者にも「生きがい」「働きがい」につながる。福祉、環境、労働、教育の連携となると考えた。

理念先行のスタートだったが幸運が重なった。市内の農家がビニールハウス2棟を格安で貸してくれた。そこから井戸水も出た。経費は大幅に圧縮できた。

栽培にあたったのは知的障害者11人の「どんぐりグループ」。宮脇さんの指導の下、ドングリ拾い、水やり、肥料やり、発芽した苗のポッドへの移し替えなどに励んだ。1年半後の08年3月、アラカシ、タブノキなど8種類200本(1本400円)のポッド苗を初めて出荷した。

一般業者では、付加価値の低い常緑広葉樹の苗木を大量に栽培している例は少ない。10年に県内で行われた全国植樹祭では県が2千本を発注。全国各地の自治体、企業、学校、市民団体などからも発注が来た。

苗木が育ち出荷が本格化した09年度は約1万2千本、10年度は約2万4千本。11年9月中旬までの累計は4万5600本に上る。

08年には植樹のための寄付の受け皿となる「いのちの森づくり基金」も設置。これを活用して「どんぐりグループ」が各地に出掛け、植樹も行っている。

グループのメンバーは「命そのものを育てる喜びがあります。ドングリ拾い、植樹ではいろんな人と交流できて多くを学べます」と笑顔を見せた。

10年度のプロジェクトの収入は約1150万円。経費を差し引くと、雇用契約を結べないタイプの就労継続支援B型のメンバーに、1人月額3万円以上の工賃を出せる計算。県内平均1万2453円(同年度)の倍以上だ。

現在、ハウスで36種類約5万5千本の苗を栽培している。学園の就業支援を担っている「研進」社長の出縄貴史さんは「年間2万本の出荷を続けたい。自然の森が広がると同時に、学園の事業の柱の一つになってほしい」と期待を込めている。

◆進和学園

平塚市内に知的障害者施設11カ所を設け、約450人が生活支援、就労支援などで利用している。うち220人が各種事業で福祉的就労をしている。事業の中心はホンダから受託した自動車部品組み立てで、収入は約1億6500万円に上る。しかし、リーマン・ショック後に受託が減るなど、自動車関連の受託の今後は不透明なため、事業の多角化にも着手。製パン、シイタケ販売、クリーニング、いのちの森づくりなどの収入が合計約5700万円になっている。

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