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幻のナシ「長十郎」苦い減産、農家高齢で「最後の収穫祭」へ/川崎

社会 | 神奈川新聞 | 2011年9月18日(日) 09:50

川崎発祥で、現在市内でわずかしか作られていない幻のナシ「長十郎」。その生産を支えてきた多摩区の農家が、高齢などを理由に来年からの生産量を大幅に減らす決断をした。次世代に地域の伝統を伝えようと続けてきた、小学生たちの授粉・収穫作業体験、収穫を祝うパレードも今年でひとまず最後。関係者は「体験した子どもたちの中から将来の担い手が出てほしい」と希望を託す。

太田嘉治さん(78)が営む「太田農園」には、約20本の長十郎を含め、「幸水」や「豊水」などナシの木が74本ある。60年以上生産に携わってきたが、年齢に加えて体調不良などもあり、管理が難しくなった。来年2月までに撤去工事を行い、長十郎の木は1~2本を残すのみとなり、全体でも20本に減らすという。

長十郎は甘さは申し分ないものの、実が堅いため、水分が多くて柔らかい新品種の幸水や豊水に押され、市場から姿を消した。最高で樹齢100歳にもなる20本もの長十郎を育てている畑は珍しく、「川崎区が発祥の地である長十郎を通じて、地域の歴史に関心を持ってもらおう」と、子どもたちの実体験の場として使われてきた。総合学習で長十郎の歴史などについて学ぶ市立東大島小学校、市立川中島小学校(ともに川崎区)などの4年生が授粉や収穫を体験。収穫祭として川崎駅東口の商店街などをパレードする。

140人ほどの子どもたちが、かつて苗木を運ぶ際に使われていた大八車を引きながら練り歩き、長十郎にまつわる歌や踊りを披露しながら学習成果を発表するチラシを配る。パレード後には長十郎を配る収穫祭は、6年前に始まり秋の風物詩として定着しつつあった。「なくなってしまうのは残念」と惜しむ声が上がる一方で、未来への布石となる計画も進行中だ。

太田農園での総合学習に協力する、町おこしに取り組む市民団体「多摩川クラブ」。長十郎の苗木10本を新たに託し、収穫を迎える10年後から、再び学習の場にするつもりだ。「収穫作業や歴史を学んだ子どもたちの中から将来、担い手が出てくれるといい」と話す。

“最後”の収穫祭は19日。子どもたちは「太田さんのためにもパレードを成功させたい」と意気込む。太田さんの妻チヨさん(75)は「小学生が長十郎のことを知ってくれたのはうれしい。畑の面積は狭くなるが、長十郎の伝統は大切に残していきたい」と話した。

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